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“真剣勝負の昭和→お祭りの平成・令和”NPBオールスター史と2021年出場選手の通算記録… 佐藤輝明ら初出場が多数、最多出場は? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/07/15 17:03

“真剣勝負の昭和→お祭りの平成・令和”NPBオールスター史と2021年出場選手の通算記録… 佐藤輝明ら初出場が多数、最多出場は?<Number Web> photograph by Kyodo News

2019年のオールスターでは近本光司がサイクル安打を達成した。お祭り感が強まった球宴で、どんなプレーが生まれるか

 昭和の時代(1951年~1988年)、オールスター戦の勝敗はセ42勝パ59勝4分とパが圧倒した。「実力のパ、人気のセ」という言葉が定着し、パ・リーグは留飲を下げたものだ。

交流戦ができて以降は日米ともに……

 しかし21世紀に入ってオールスター戦の真剣味は、日米ともに薄れていった。その最大の要因は「交流戦(MLBではインターリーグ)」だろう。これまでありえなかったリーグをまたいだ対戦が普通に行われるようになり、新鮮味がなくなった。またトレードなどによる選手の移動も頻繁になり、両リーグの距離感が縮まった。

 NPBでは2009年からセ・パ両リーグの事務局が統合され、コミッショナー直属の「運営部」になった。単独のリーグも存在しなくなったのだ。

 こうした経緯で、オールスター戦は真剣勝負と言うより「お祭り」の色が強くなった。

 MLBでは高額年俸の選手が増えたために、故障を恐れてオールスター戦を辞退する選手も増えた。オールスター戦の価値は、最近かなり小さくなっている印象がある。

オールスター出場は公式記録に残る

 しかし「オールスター戦出場」が、プロ入りした選手の大きな目標なのは今も昔も変わらない。選手のキャリアを見るとき「オールスター出場何回」というのは、タイトル獲得とともに、大きな評価ポイントになっている。

 またNPBが発行する「オフィシャルベースボールガイド」には、公式戦、日本シリーズと並んでオールスター戦の戦績が、個々の選手単位で詳細に記録されている。オールスター戦は単なるエキシビションゲームではなく、球史に刻まれる重要な試合なのだ。

 オールスター戦で故障やけがをすることはあってはならないが、出場した選手は最高のパフォーマンスを観客に見せるように努力すべきだろう。

 さて、今年のオールスター戦は7月16日(メットライフドーム)、17日(楽天生命パーク宮城)で行われる。昨年は中止になったので2年ぶりの開催だ。

【次ページ】 パ・リーグの初出場は13人。その面々は……

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