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DeNA佐野恵太が今年もヒットを量産できるワケ…SB松田宣浩に教わった、試合前に毎回やっていることとは?
posted2021/07/15 11:07
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
その安定感たるや驚愕に値すると言っていいだろう。“令和のバットマン”として2年連続首位打者も視野に入ってきた横浜DeNAベイスターズの佐野恵太。ペナントレース前半戦を終了し打率.328、109安打はリーグトップであり、ここまで毎日のようにヒットを量産してきている。佐野は、今シーズンを振り返り、次のように語る。
「コンスタントにヒットが出ていること、また打率が3割以上でキープできているのは自分のなかで納得のできる部分でもあります」
だが、そう言った次の瞬間、悔しそうな表情を浮かべた。
「ただ、もっとホームランを打ちたかったですし、チャンスでもっとヒットを打たなければならなかった……。とくに最近までは勝負を決定づけるようなバッティングがほとんどできていなかったので、そこは反省点ですし、後半は増やしていかなければって」
たしかにここまで本塁打8本、得点圏打率.269は、佐野の能力を考えれば物足りない。その影響もあってか、昨年1年間守り抜いた4番の座を5月中旬からタイラー・オースティンに譲り、3番へと打順が変わった。ただ佐野の出塁率は.392あり、チャンスメイクという意味では理に叶った打順変更だといえる。
また特筆すべきはその得点であり、DeNAではリードオフマンの桑原将志の54点に次ぐ47点を挙げている。つまり、よりチームに多くの得点をもたらすことのできる選手だというわけだ。
4番でも3番でもプレーには関係ない
「4番だ3番だということに関しては、その日プレーをすることに対してまったく関係のない感情なので、試合に集中しています。なにしろ後ろにはいいバッターが揃っているので、とにかく繋ぐことと出塁することを意識しています。また前のふたり(1、2番)がチャンスを作ってくれることが多いので、しっかりと返せるバッティングをしていきたいと思っています」
昨シーズンに確立したバットを下に潜らせることなく、トップから一直線に落としていく無駄を削ぎ落した打法は今季も健在であり、佐野いわく「毎日、感覚的な部分で微調整している程度」という。
「例えば両目でしっかりボールを見ようだとか、タイミングの取り方、脚の上げ方など微細な部分を大事にしています。毎日、同じ感覚で野球をやるのは難しいことなので」
昨年首位打者になったこともあり敵チームから研究をされ、配球の厳しさはもちろん一二塁間に厚めのシフトを敷かれているが、それを苦にすることなく数字を残しているところに、あらためて佐野の非凡さを感じる。開幕当初、厳しい攻めやシフトに戸惑うことはなかったのだろうか?