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得点圏打率はパ2位、28歳呉念庭はなぜ西武の救世主になれた? 初のオールスター出場は台湾でも話題「毎日、連絡が来ます」
posted2021/07/16 06:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Sankei Shimbun
33勝38敗14分け、首位までのゲーム差6.5で前半戦を終えた埼玉西武ライオンズ。
山川穂高、外崎修汰ら主力の故障や、新型コロナ感染症の発症と、その濃厚接触者の隔離によって戦力が整わない苦しい展開を強いられた前半戦だった。
そんな中、チームの危機を救ったのが28歳、呉念庭(ウー・ネンティン)の存在だろう。
辻発彦監督は振り返る。
「最後こそ5つ負け越しましたが、シーズン序盤、主力が離脱していく中でも五分の成績で戦えたのは呉念庭の打撃のおかげです」
呉は3月31日、前日の試合中に故障し、登録を抹消された山川の代わりにファーストに入った。同日、プロ初本塁打を記録。当初は8番だった打順を徐々に上げて、4番を任される試合もあった。
その後、山川の復帰後はセカンドで、外崎の復帰後はサードで試合に出場を続け.272の打率と、パ・リーグ2位となる.403の得点圏打率を残した(7月14日現在)。救世主的な活躍でチームの勝利に貢献している。
ランナーを返すのが自分の仕事
「得点圏打率が高い理由? どうですかね。ランナーがいたほうが、割り切りができるとは感じています。自分のスイングが思い切りできる。あらかじめ頭に入れていたデータを思い返して、打席では相手ピッチャーの動きを観察して、なんとなく雰囲気で『この球が来そうだな』と決めたら、迷わず、思い切り振る。それがいい結果につながっているのかなと思います。今は得点圏でランナーを返すのが自分の仕事だと思っています」
呉本来の長所である思いきりの良さが発揮された結果だった。