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《東京五輪で来日》外国人選手団&メディアの“本音”「他国の誤った行動も我々に…」ブラジル五輪委会長や藤井裕子監督らに聞く 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byYuko Fujii

posted2021/07/14 17:00

《東京五輪で来日》外国人選手団&メディアの“本音”「他国の誤った行動も我々に…」ブラジル五輪委会長や藤井裕子監督らに聞く<Number Web> photograph by Yuko Fujii

藤井裕子監督(右から2人目)らブラジル柔道選手団

室内競技ゆえ、チーム全体が崩壊しかねない

ネイ・ウィルソン強化部長:柔道は室内で行なわれ、しかも練習でも試合でも他の選手との接触が不可避の競技だ。選手、選手の練習相手、監督・コーチ、スタッフの誰か1人でも感染したら、濃厚接触者が大勢いる可能性があり、チーム全体が崩壊しかねない。

 ただし、世界柔道界にはある種のアドバンテージがあると言えるかもしれない。昨年末に再開された国際大会に参加する際、東京五輪で採用されるのと同様のバブル方式による対策が講じられてきた。それゆえ、柔道選手は厳格な規則を守ることに慣れている。

 また、東京五輪に出場する男子7人、女子6人の選手全員と関係者のほぼ全員がワクチン接種を終えている。中には、すでに感染して免疫ができていると思われる選手もいる。それでも、決して油断することなく万全の対策を取り、何としても感染を回避するつもりだ。

藤井監督:昨年来、私も選手も可能な限りの対策を取り、膨大な回数のPCR検査を受けてきた。

 それでも、今年4月にトルコで行なわれた国際大会への遠征中に一部の選手が感染し、そのせいで選手団全員が大会終了後、10日間、トルコに滞在を余儀なくされるという苦い経験をした。それだけに、代表チームの誰もが絶対に感染しないと心に誓っている。

コパ・アメリカでの感染拡大をどうとらえた?

――6月13日から7月10日までブラジルでフットボールの南米選手権(コパ・アメリカ)が開催され、大会期間中に選手、関係者合計で約200人の感染者が出たと報じられました。このニュースをどう受け止めましたか?

バンデルレイ会長:南米選手権でもバブル方式を採用したと聞くが、選手や関係者の感染を防ぐことはできなかった。チリ代表の一部の選手が外部から理容師を宿舎へ招き入れて数人の髪を切ってもらった、といったルール違反もあったようだ。

 我々は、自分たちの中からそのようなルール違反をする選手を絶対に出さないようにする。ただし、ブラジル選手団のみならず、他国選手団の誤った行動も我々に跳ね返ってくる可能性がある。

 東京五輪に参加する選手、監督・コーチ、チームスタッフ、さらにはメディア関係者ら全員が自制しなければならない。そのことを肝に銘じ、我々オリンピアンはこれから大会が終了して母国へ戻るまで、完璧な行動を取らなければならない。

ジャーナリストには「開催反対派」もいる

――ブラジル選手団の方々は、当然、東京五輪が開催されることを前提として準備を進めてこられたと思います。一方、ジャーナリストのおふたりは、率直なところ、五輪開催の是非をどう考えますか?

【次ページ】 関係者全員が最善の対策を行なうことを誓うべき

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