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《東京五輪で来日》外国人選手団&メディアの“本音”「他国の誤った行動も我々に…」ブラジル五輪委会長や藤井裕子監督らに聞く
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byYuko Fujii
posted2021/07/14 17:00
藤井裕子監督(右から2人目)らブラジル柔道選手団
バンデルレイ会長:以前から日本における状況を逐一、追ってきた。日本で開催に反対したり不安に思う人が多いのは、承知している。昨年3月以降、世界全体が異常な状況下にあり、日本の人々が五輪開催によって感染がさらに拡大するのを懸念するのは無理からぬことだと思う。
ネイ・ウィルソン強化部長:1980年から計数十回、柔道の国際大会や強化合宿などで日本を訪れている。日本の人々の心情はかなり理解しているつもりだ。外国から大勢の人がやってきてウイルスを持ち込むことを心配するのは当然だろう。
藤井監督:私は日本人だから、日本の状況と日本の人々の思いはとても気になる。でも、私の立場でできることは多くない。事態が好転することを祈りながらも、五輪が開催される場合に備えて、プロコーチとしての自分の仕事に全力を注いできた。
ブラジル五輪委会長が語る感染防止対策とは
――大会に先立って来日したウガンダなどごく小規模の選手団から、すでに複数の陽性者が出ています。このことに不安を感じていませんか? 日本での行動規制をどのように徹底するつもりですか?
バンデルレイ会長:IOC、大会組織委員会などが策定したプレイブックを忠実に遵守するだけでなく、独自にさらに厳格なルールを設け、一層の安全を期している。
その一助として、東京五輪への選手団に随行するスポーツドクターの数をリオ五輪のときの8人から16人へ倍増した。そのうちの2人は、感染症対策を専門とする医師だ。世界各国の選手団は日本到着前に少なくとも2度のPCR検査を義務付けられているが、我々はスポーツドクターの発案で、選手団のメンバー全員に4回のPCR検査と出発当日の抗原検査を課している。
また、大会前の事前合宿でも選手村へ入ってからも、極力、他者との接触を減らす。食事のときも、戸外で他の選手と距離を取って食べたり、各自、料理を自室へ持ち帰って食べてもらうことを推奨している。
今回の選手団は選手が約300人で、関係者の数を可能な限り絞って約200人とした。選手は95%以上、選手団全体でも90%以上がブラジル出国前に二度のワクチン接種を完了している。それでも自ら感染したり、あるいは他者を感染させるリスクがあることは周知徹底させており、決して気を緩めることなく、万全の対策を取るよう呼びかけている。