サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER

「南野拓実が途中離脱したけど、リバプールと…」 反町康治技術委員長が明かす“モメないための招集交渉術”と五輪OA枠の裏側 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byJFA/AFLO,Getty Images

posted2021/07/08 11:01

「南野拓実が途中離脱したけど、リバプールと…」 反町康治技術委員長が明かす“モメないための招集交渉術”と五輪OA枠の裏側<Number Web> photograph by JFA/AFLO,Getty Images

日本代表の招集にまつわる話を反町技術委員長が明かしてくれた(撮影は別日)

反町 ヨーロッパでプレーする選手の人数が多くなって、今だいたい50人くらいいるので、日本にいる(JFAの)担当者が窓口になってしまうと、時差もあって話したいときに話せなかったりして、いっぱいいっぱいになっていた。それなら一度業務を整理して、ドイツに拠点を作ろうということになった。海外組のメンタルや体のケアをやるべきだというのもあったしね。

 例えば、JFAのトレーナーがドイツへ行ったときには、オランダとかドイツ周辺にいる選手だったら車で3時間くらいでパッと来て、鍼を打ってもらうこともできるから。

 また、彼らを日本代表に招集するにしても、一括管理して各クラブにレターを送ったり、森保(一)監督がヨーロッパのクラブへ視察に行きたいとか、試合を見たいとかいうことがあった場合には、その対応もできる。

航なんかはチームの中で確固たる位置にいるから

――ヨーロッパ拠点はいつできたのですか?

反町 僕が昨年(技術委員長として)JFAに来たときには、ヨーロッパ拠点を作って誰を派遣するかがすでに理事会で決まっていた。コロナの影響で立ち上げには少し苦労したけれど、以前から必要性を感じていながら実現していなかったことが、この1年半くらいですごく成果をあげていると思ってもらっていいかもしれない。

――OAの招集に当たって、所属クラブとの交渉が難航することは?

反町 早めに話をして周到に準備してきたので、大きな問題はなかった。自画自賛するみたいだけど、それは間違いなくあると思う。自画自賛と言っても、ヨーロッパ拠点が動いてくれていただけで、僕は何もしていないんだけど(笑)。

 それに(遠藤)航なんかは、チームの中で確固たる位置にいるから、いろんな意味で信頼されている。だから、JFAと所属クラブとの関係だけでなく、選手本人の普段の振る舞いも、こういうことには影響を与えてるのかもしれないね。

口約束だけだと微妙なところがあるので

――クラブとの交渉で気を遣ったところは?

反町 口約束だけだと微妙なところがあるので、テクニカルダイレクターとかのサイン付きで「招集された場合はオリンピックに参加させます」という、ちゃんとしたレターをお互いに交換し合った。それがないと、リオオリンピックのときの久保裕也のように、クラブはOKだったけれど、直前になって監督がダメって言うこともあるから。今まではそういう作業も、もしかしたらちょっとアバウトだったのかもしれない。

 でも、そういうことを少しずつ学んできたから、クラブと我々のヨーロッパ拠点との間には大きな軋轢も生まれずに、スムースに話が進んだんじゃないかなと思っている。

――OAの招集に限ったことではなく、すべての海外組に通じることですね。

【次ページ】 OAは3人以外にも「少なからず幅をもって」

BACK 1 2 3 NEXT
反町康治
遠藤航
吉田麻也
酒井宏樹
南野拓実
森保一
横内昭展
東京五輪
オリンピック・パラリンピック

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ