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「南野拓実が途中離脱したけど、リバプールと…」 反町康治技術委員長が明かす“モメないための招集交渉術”と五輪OA枠の裏側
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byJFA/AFLO,Getty Images
posted2021/07/08 11:01
日本代表の招集にまつわる話を反町技術委員長が明かしてくれた(撮影は別日)
反町 (東京オリンピックの1年延期が決まり)U-23からU-24になったときも、すぐにクラブと交渉してきた。(24歳以下の選手でも)すでにクラブの中心になっている選手は多いし、直前でお願いするのと1年前からお願いするのでは、受け取るほうは全然違うと思うから。
6月のA代表の活動では南野(拓実)が途中で離脱したけれど、あれもリバプールとは「今回は拘束期間が長いし、試合数が多いね」という話をしていた。本当は6月15日までIMD(インターナショナルマッチデー)だから拘束力はあるけれど、我々はIMDに入る前のミャンマー戦から活動しているので、「分かりました」ということで途中離脱することになった。
OAは3人以外にも「少なからず幅をもって」
――森保監督はOAについて、「すべてのポジションでリストアップした」と話していました。選ばれた3人以外とも交渉していたのですか?
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反町 実際の選考については、僕はまったくノータッチ。交渉はヨーロッパ拠点のリーダーである津村(尚樹)と森保監督、もしくは横内(昭展)コーチに任せていたので、それが5人なのか、10人なのかは分からないけれど、少なからず幅を持って何人か選んでいたとは思うよね。どこまで深くクラブと話していたかはともかく、そこも含めて、うまくさじ加減を取りながら交渉していたと思う。
――大会規定では、事前に提出する50人のリストの中から登録メンバーを選ぶとなっていますが、そのリストには3人以外のオーバーエイジも……。
反町 入っていた。誰かがケガをしてしまったとか、そういうときには入れ替えることがないわけではなかったので。
国内は「OAも含めて各クラブ3名までは出す」
――選考にはノータッチだったとしても、OAをどうするかという方針について、技術委員会で話し合うことはなかったのですか?
反町 それは現場に任せている。方針を決めるとか、そういう話し合いは技術委員会ではしない。
ただ、国内の選手について「招集された場合、OAも含めて各クラブ3名までは出す」ということは、技術委員会がクラブの強化担当やJリーグの窓口としっかり話し合って、今回も決めていた。当然、東京でやるオリンピックだというバックボーンもあるから、クラブとしても応援したくなるだろうしね。
――ヨーロッパのクラブ相手でも、「東京でやるオリンピックだというバックボーン」は交渉材料としてプラスになりますか?
反町 それはなる。選手によっては代理人を通じて契約に、「オリンピックに選ばれた場合には参加することを了承する」という内容を盛り込んでいた選手もいるからね。
(後編に続く。関連記事からもご覧になれます)
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