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【ラグビー】負けられなかった敵将「日本は10位より、だいぶ上」“厄介ぶり”を証明したジェイミージャパンが得た自信と課題
posted2021/07/06 11:04
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph by
Getty Images
7月3日、前週のエディンバラのマレーフィールドで行われたブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦に続き、欧州の強豪・アイルランド代表と戦うため、敵地ダブリンに乗り込んだラグビー日本代表。
比較的天候にも恵まれたこの日の試合は、10番田村優が決めたペナルティゴールにより幕を開けると、トライが飛び交うシーソーゲームの展開となり、後半の序盤までに何と7回も逆転が発生するというエキサイティングな戦いとなった。
日本が奪ったトライは4つ。敵陣ゴール前のラインアウトから巧みにモールをずらしてFLリーチ マイケルが押さえたトライに始まり、田村の絶妙なグラバーキックやボールを果敢に動かす戦術によって、CTBラファエレ ティモシー、WTBシオサイア・フィフィタ、そして代表初先発のSH齋藤直人からトライが生まれた。
最終スコアは39-31とホームのアイルランド代表に軍配が上がったが、この日、ダブリンのアビバスタジアムを訪れた3000人の観衆だけでなく、TVでこの試合を観戦した多くのラグビーファンたちを興奮させた試合だった。
リベンジではないが、ワールドカップでの日本代表戦の衝撃を、アイルランドのファンたちは鮮明に覚えている。通常であれば約5万2000人の観客収容数を誇るこの競技場だ。満員の観衆がいれば、スタジアムが揺れるほどの大きな歓声が幾度となく響く試合だっただろう。
スピード、攻撃の種類が豊富
Exciting Brand of Rugby――
欧州ラグビー界が日本代表のプレースタイルを説明する表現として、この言葉はよく使われている。
自陣22m以内でプレッシャーを受けながらもボールを回す戦略はダブリンでも不気味な空気を生み出しており、そうかと思えば、敵陣に入ると突然誰も想像していなかったような絶妙なキックを繰り出していく。アイルランド代表の選手たちは、シックスネーションズや欧州トップクラブでの試合を主戦場としており、このような戦い方をするチームを相手にする経験があまりない。
ライオンズのディフェンスコーチを務めるスティーブ・タンディ(スコットランド)は、日本代表戦の前に、「スピードを最大の武器とするチームで、さまざまなスピードを織り交ぜて戦ってくるのはよく知っています。攻撃の種類も豊富なチームだということも、知っています」とその分析結果を語っていた。攻撃の引き出しの数が多く、どこで何をしてくるか分からない、厄介なチームであるというのがブレイブ・ブロッサムズの世界での評判である。