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【ラグビー】負けられなかった敵将「日本は10位より、だいぶ上」“厄介ぶり”を証明したジェイミージャパンが得た自信と課題
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byGetty Images
posted2021/07/06 11:04
代表初スタメンSH齋藤直人はトライをマークするなど奮闘。試合後はすぐに反省の口にし、今後の成長に生かすことを力強く誓った
「日本代表は信じられないほどにダイナミックで、動きだすと止めるのが非常に難しいチームでした。パワーとスキルを兼ね備えたアスリートのチームで、とにかく今日は手強い相手に勝てて嬉しいです」
これはアイルランド代表アンディ・ファレルHCの試合後のコメントだ。
主力の多くをライオンズに貸し出し、さらに限られた時間の中で準備を進めてきただけに、激しい接戦の末の勝利を素直に喜んだ。そして現在の日本代表の実力について次のコメントも述べている。
「現在、世界ランキングでは10位にランクされているようですが、これは2019年のワールドカップ以来、テストマッチを戦っていないからでしょう。10位よりは、だいぶ上の実力のチームだと思います」
中継に参加していたアレックス・グッド
現地のTV中継では、昨シーズン、トップリーグのNECグリーンロケッツへのローン移籍を経験したFBアレックス・グッド(元イングランド代表)が出演していた。前半終了間際に19-17と逆転を許してハーフタイムに入った日本代表が、後半どのような戦い方をするべきかと解説者に聞かれると、こんなコメントを残した。
「とにかく早くボールを動かし、相手を撹乱し続けるのが日本のラグビー。逆転されようと何だろうと、このまま日本らしい戦い方をするしかないでしょう。彼らにとって、これ以外の戦い方などありませんよ」
戦術の引き出しを多く持っている日本代表だとしても、ここからフィジカルとキック、ディフェンスとプレッシャーを基調にした重量級の戦術を採ってくるはずはない、という意味だろう。
選手とボールが動き続ける日本代表のアタックコーチを務めるトニー・ブラウンの名は、アイルランド代表にもよく知られていた。ニュージーランド出身のブラウンコーチは、その攻撃の創造性で評判だ。相手よりも素早く動くだけでなく、素早く考え、そして素早く解決策を見つけていく術を日本代表へ落とし込んでいる。その精度の高さは2019年ワールドカップ以降、世界に証明済み。
つまり、何をしてくるか分からないチームだと警戒されているなかで、相手の虚をつき、勝利をもぎ取ることが、これからの日本代表に課された使命だろう。その中でアイルランド代表相手に4つのトライを奪ったことは相応の評価を与えてもいいはずだ。