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「腹立たしいんですよ」“2021年のUWF”は殺伐とした対抗戦に 佐藤光留はなぜ田村潔司に激怒したのか? 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2021/06/17 12:07

「腹立たしいんですよ」“2021年のUWF”は殺伐とした対抗戦に 佐藤光留はなぜ田村潔司に激怒したのか?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

佐藤光留率いるハードヒットは“U復興”を謳うLIDET UWFの登場に怒りを隠さない

UWFは新日本、全日本に対するベンチャー

 もう1つ。UWFは団体そのものの姿勢の象徴でもあると鈴木は言う。

「第2次UWFがブームになったのは80年代、ベンチャー企業の隆盛と同じ時期です。UWFも、テレビ局をバックにした新日本、全日本に対するベンチャーでした。若者たちが自分の会社を作るという流れに乗っていたんです。今は何か大きな存在に導いてほしいという考えが主流になっている気がして、だから余計にベンチャースピリットを大事にしたい。『GLEAT UWF』ではなく『LIDET UWF』というネーミングにしたのは、会社としての思想を乗せているからです。

 LIDET UWFは田村潔司がいて、僕との関係の中で始まったもの。田村潔司か僕がやめると言わない限りお客さんが1人になっても続けます。でもビジネスとしての価値、生き抜き方も田村潔司は考えている。彼が映像で送ってきた最初のプレゼンには、UWF女子のプランもあった。これは可能性あると思いますよ。(田村は)今のプロレスは全然見てないと言いながら、かなり詳しいんじゃないかな(笑)」

 ベンチャーとして社会(業界)の中で闘い、生き抜く。それを選手にも求めたいと鈴木。リデット社はこれまでさまざまな団体、イベントをバックアップしてきた。プロレスリング・ノアの親会社だったこともある。そこで感じたことが鈴木にはあった。

“U系”イベント『ハードヒット』の面々は

「我々のような企業がプロレス団体、興行の後ろ盾になりますよというと、何よりも先に“いくらもらえるんですか?”となる選手もけっこういるんです(苦笑)。でもリデットという母体に頼るんじゃなく、自分の力で出世して、団体を大きくするのがベンチャーじゃないですか。今UWFという名を冠することには、そういう意味もあるんですよ」

 UWFには、2021年の今もやる意味がある。田村と鈴木はそう考えた。ただ、同じことを考える者は他にもいた。佐藤光留(ひかる)率いる“U系”イベント『ハードヒット』の面々だ。

 ハードヒットはもともとDDT内のブランドだったが、佐藤は自分の“城”として譲り受け、作り直した。過去のU系団体と同じくロープエスケープ、ダウンでポイントが引かれていき、ポイントがゼロになるとTKO。ただ“総合格闘技風味”のプロレスにするつもりはなかった。総合格闘技が確立している時代に、それをやってもしらけるだけだ。

 ハードヒットが指向するのはプロレスのいちスタイルとしてのU。蛍光灯で殴り合うプロレスがあるなら、キックや関節技だけで闘うプロレスがあってもいいだろうというわけだ。

【次ページ】 佐藤光留の考える「現在進行形のU」とは

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