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代表で5人抜けても21戦無敗… 小林悠とL・ダミアンの“競争・共存・協調”に見るフロンターレ鬼木采配の凄さ
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2021/06/08 17:02
横浜FC戦でも2得点を挙げて勝利に貢献した小林悠。川崎フロンターレはJ1の頂をひた走っている
「引き分けはいらないです。勝ちにこだわる姿勢は、みんながすごく持っています。無敗ではなくて連勝が大事なので、それを積み上げていきたいと思っています」
――いつ止まるのか。どこが止めるのか。
そう言われながらも、結局、王者は一度も立ち止まることがなかった。シーズンを折り返した段階で、すでに「55」という驚異的な勝ち点数を積み上げている。
ダミアン12得点、小林悠9得点の見事さ
歴史的な強さを見せているチームなだけに、その要因を挙げていくとキリがないだろう。だが、特筆すべきは、やはり鬼木監督の手腕だ。中でもレアンドロ・ダミアンと小林悠という2人のエースストライカーの起用法は、お見事としか言いようがない。
L・ダミアンは現在12得点。
札幌のアンデルソン・ロペスと並んでJ1得点ランキングトップだ。一方の小林も9得点で4位タイにつけている。同じポジションにエース級のセンターフォワードが2人いるのが、絶対的王者である川崎フロンターレなのである。
エース級のFWが複数いても、機能するかどうか
エース級のストライカーが2人いるのだから、強くて当然とも思われるかもしれない。
しかしそんなに簡単ではないのがサッカーでもある。「両雄並び立たず」という言葉があるように、両者が強烈なライバル同士になることで、チーム内で不具合が生じることも何ら珍しくない。エース級のFWが複数いることと、それが組織として機能するかどうかは別問題の難しさがあるのだ。
そもそもストライカーというのは、ゴールのために強いエゴを求められるポジションである。数字で評価されるがゆえに、ときには自分の利益を優先させるタイプも少なくない。それがチームのエースとなれば、尚更だろう。それだけに、両者を共存させながら結果を出し続ける鬼木監督のマネジメント力が際立つのだ。
実際、去年までのL・ダミアンと小林悠は、ライバル関係として注目されることも多かった。