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代表で5人抜けても21戦無敗… 小林悠とL・ダミアンの“競争・共存・協調”に見るフロンターレ鬼木采配の凄さ
posted2021/06/08 17:02
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Etsuo Hara/Getty Images
安堵の表情がこぼれていたのは、勝ち続けなくてはいけないプレッシャーもあったからだろう。
「ここでフロンターレの強さを示さないといけないと、みんなが思っていました」
試合後の脇坂泰斗は、そんな言葉でチームの思いを代弁した。
代表組5人が不在の中で臨んだ横浜FC戦は、2-0の完勝。これで17勝4分で開幕からのリーグ無敗記録は「21」に伸びた。昨年からの連続無敗記録となると、20勝6分けの「26」だ。どちらもJリーグ新記録を更新中である。圧倒的な強さを見せた昨年以上の絶対王者ぶりを、今季の川崎フロンターレは示し続けている。
結果に一喜一憂しないメンタリティー
もっとも、鬼木達監督はこうした結果にも満足している様子はない。
その成績を十分に評価しながらも、毎試合のように「もっと改善できると思います」とさらに上を見据えた言葉を述べている。
だから、なのだろう。
指揮官が掲げる「結果に一喜一憂しない」というメンタリティーは、選手たちにもすっかり浸透した。
例えば今季の優勝争いを占うと言われた2位・名古屋グランパスとの2連戦でのこと。川崎の強さを印象付けた天王山の連勝となったことはまだ記憶に新しいが、この試合直後のロッカールームで行ったことは、選手間での反省点の話し合いだったと登里享平が明かす。
「結果的には2勝しましたが、反省の方が多いですね。ロッカールームで失点シーンや全体の流れもDAZNで確認しながら、選手間でコミュニケーションをとりながら話しました……それで(勝利後の)ツイートが遅れたんですけど(笑)」
律儀にオチをつけるあたりが登里たるゆえんだが、去年から川崎の試合後のロッカールームは、こうした光景が日常になっている。勝って喜ぶ場ではなく、勝った上で試合内容の改善点を選手同士で精査し、共有する。将棋でいう感想戦の場となっているようである。
キャプテン登里「引き分けはいらないです」
チームの無敗記録は現在進行形だ。しかし重要なのは負けないことではなく、勝つことにある。直近の横浜FC戦でキャプテンマークを力強く巻いた登里は、こう言い切っている。