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プレミアの“ビッグ6”はもはや死語に? トッテナムとアーセナルが堕ち、光るレスターの堅調
posted2021/06/07 11:01
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
イングランドでは、マンチェスター・ユナイテッド、リバプール、アーセナル、トッテナム、チェルシー、そしてマンチェスター・シティが“ビッグ6” と言われていた。
伝統、格式、実績、知名度、クラブの規模などをふまえると、確かにビッグだったかもしれない。伝統と格式に寄り添うのなら、チェルシーとシティは除外される。
前者は2003年にロマン・アブラモビッチ(オーナー)が買収した後、後者は2008年に『アブダビ・ユナイテッド・グループ』が経営に参画して以降、莫大な資金力によって急速に力をつけた。いわば新興クラブである。
しかし、伝統と格式だけで飯を食えるほど、プレミアリーグは甘くない。アーセナルとトッテナムの凋落により、ビッグ6は死語になりつつある。
経営も補強もすべて会長の皮算用次第
他の5クラブに比べると、トッテナムは近年の実績で劣っている。マウリシオ・ポチェッティーノが率いた2014-15シーズン以降の5年間、一度もタイトルを取っていない。18-19シーズンのチャンピオンズリーグ準優勝が最高成績で、07-08シーズンにリーグカップを獲得した後はタイトルとは縁遠くなっている。今シーズンもCL、ヨーロッパリーグともにチケットを逃し、カンファレンスリーグなる意味不明の大会の出場資格を得たにすぎない。
原因はダニエル・リービー会長にある。
トッテナムの実権を握って20年が過ぎたが、グレン・ホドル→デイビッド・プリート(暫定)→ジャック・サンティニ→マルティン・ヨル→ファンデ・ラモス→ハリー・レドナップ→アンドレ・ビラスボアス→ティム・シャーウッド(暫定)→ポチェッティーノ→ジョゼ・モウリーニョ→ライアン・メイソン(暫定)と10回も監督を代えるだけで、自らの責任に関しては一切言及していない。
補強の成功例もソン・フンミンとクリスティアン・エリクセン(現インテル・ミラノ)、ピエール・エミル・ホイビェアなど数少なく、ハリー・ケインは今シーズン限りでトッテナムを離れるという。
こうした人事の責任がリービーにあることは、改めていうまでもない。
なぜなら、ディレクター制度を採用していないトッテナムにおいて、経営も補強もすべて会長の皮算用次第だからだ。比較的すぐれたスカウティング部門を有しているにもかかわらず……。