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シェフチェンコ44歳がEURO2020最年少監督…“引退後の異常な歩み”とは ウクライナの若武者とダークホース候補に
posted2021/06/07 17:01
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
Getty Images
「決勝進出が決まった後で電話をもらったよ。そういえば、どちらを応援するのか聞くのを忘れていたな……」
そう話したのは、先日、ヨーロッパの最強クラブを決めるチャンピオンズリーグ決勝に挑んだマンチェスター・シティのオレクサンドル・ジンチェンコだ。
ジンチェンコが気にした電話の主は、そのファイナルをスタジアムで観戦していた。
ただしシティ側の席ではなく、対戦相手であるチェルシー側で。現役時代に籍を置いた古巣が9シーズンぶりにビッグイヤーを掲げる様子を、オーナーであるロマン・アブラモビッチの近くで見つめていた。
その人物の名は、アンドリィ・シェフチェンコ。
2シーズン在籍したチェルシーでは輝けなかったものの、ジンチェンコが逃したビッグイヤーも、バロンドールも手にしたレジェンドである。
ウクライナの英雄は、同胞、あるいは先輩としてジンチェンコに連絡したわけではない。2人の間柄は監督と選手。今月からはEUROの舞台でタッグを組むことになる。
最年少44歳の指揮官シェフチェンコの異常な歩み
6月3日に発売された『ナンバー』の別冊付録EURO2020選手名鑑をめくると、選手だけでなく監督も多士済々だ。そんな海千山千の顔ぶれのなかでもシェフチェンコはとりわけ異彩を放つ。
出場する24チームの監督で、40代はわずか6人しかいない。そのなかで最年少なのが44歳のシェフチェンコだ。
シェフチェンコを異色たらしめているのは年齢だけではない。代表チームを率いる以前の監督キャリアが「ゼロ」なのだ。数多の経験を重ねたすえの「ゴール」とも言える代表チームの監督として、この歩みは異例を通り越して異常である。