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箱根3位にも黄色信号? 強豪校だけど「少し不安を感じてしまう」“常連4校”とは〈箱根駅伝まであと半年〉
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2021/06/02 11:03
関東インカレでは、箱根駅伝の強豪校として今後に少し不安を感じてしまうチームも見られた
チーム全体でいうと、4年生が就活中で練習に参加できないことが多く、市村曰く「もうひとつまとまりに欠けている」という状態だ。主将の本間敬大(4年)や佐伯ら故障者上がりや故障者が多い中、なかなかチームとしてのギアを上げられない。両角再生工場で練習をつづける松崎咲人(2年)の復活も気になるところだ。
これから夏合宿などで本間、市村、長田駿佑(4年)ら4年生がどれだけチームを引っ張っていけるか。東海大は、他大学以上に3、4年生の踏ん張りが駅伝の結果に大きく影響している。駅伝シーズンまでこのままいくとは思わないが、現状では駒大など上位校の仕上がりが良いため、東海大の遅れが気になるところだ。
国学院大)優勝には「中間層のレベルアップが課題」
国学院大は、昨季の箱根駅伝で総合9位に入り、3年連続でシード権を獲得した。今年は、箱根駅伝優勝が目標だが、関東インカレの結果を見る限り、中間層の実力がまだまだ足りないといった感じだ。
10000mでは、箱根1区12位の藤木宏太(4年)が28分10秒30の自己ベストで5位入賞、箱根6区4位の島崎慎愛(4年)が29分00秒73で22位という結果に終わった。藤木は、「手応えとしては、まだもう少しいけそうです。中間走を早く走れそうな感じがあり、余裕もあって、ラストスパートで負けただけなので。その余裕をなくしていけたら27分台を目指せるかなと。今後はそこを意識した練習ができればと思っています」と語った。島崎は、順位はともかく、「エースとしての自覚」を掲げ、今年は藤木、中西大翔(3年)とともにチームを引っ張る覚悟でいる。
ハーフでは、中西大翔の双子の兄・唯翔(3年)が63分00で8位、殿地琢朗(4年)が63分46秒で16位、藤本竜(3年)が64分07秒で22位という結果だった。中西は1年時から三大駅伝で活躍している駅伝男。昨季の箱根ではいまひとつだったが、同じ轍は踏まないだろう。殿地は1年から箱根を駆け、8区12位、10区4位、5区8位と派手さはないが安定しており、監督にとっては計算ができるありがたい選手だ。
5000mは、藤木、中西大翔、島崎のエーストリオが出走予定だったがキャンセルになった。
どれだけチームの選手層に厚みを出せるか?
今シーズンはこの3人が軸となり、主将の木付琳(4年)とともにチームを盛り上げていくことになる。課題の中間層は箱根8区9位の伊地知賢造(2年)が学生ハーフ64分12秒で21位に入るなど主力になりつつあるなか、今回ハーフを走った藤本、中西唯翔、坂本健悟(3年)、阿久津佑介(3年)ら3年生がどこまで上げていけるか。
さいわい、ルーキーは力のある選手が揃った。
5000m13分48秒89の山本歩夢は、2年時にインターハイ1500mで決勝に進んだスピードが魅力。14分03秒41の平林清澄は、藤木が「強い選手」と非常に期待する有望選手で、14分04秒93の中川雄太も夏を越えて実力を増してくるだろう。
藤木は、「土方(英和)さんたちと同じチームを作っては同じところにはいけないので、自主性を重んじつつ、メリハリをつけて、あの時のチームを越すつもりではいます」と今後のチーム作りに意欲を見せている。主力級が順調なだけに中間層、とくに1年生がレベルを上げて、どれだけチームの選手層に厚みを持たすことができるか。前田康弘監督の手腕が問われることになる。