ラグビーPRESSBACK NUMBER
ロビーさんも惚れた“2人の10番”松田力也と山沢拓也…「日本育ちの司令塔が優勝」は13季ぶり【ラグビーTL歴代王者の10番は?】
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byL)Getty Images / R)Takuya Sugiyama
posted2021/05/26 17:00
松田力也(右)が試合を作り、山沢拓也が試合を締める――2人の司令塔はパナソニックの層の厚さを象徴していた
翌2008-09シーズンから、TLの外国人枠が「3」に拡大されたことを機に、ゲームメークを司るSOやSHに外国人選手を採用するチームが増加。それを象徴するように、同シーズンはディビッド・ヒルをSOに据えた東芝が優勝を飾っている。
以降、トニー・ブラウン、トゥシ・ピシ、ベリック・バーンズ、そしてダン・カーター……“コーセイ・オノ”も含め、チャンピオンチームには常に海外育ちの司令塔が君臨していた。
状況に応じたデシジョンメーク、コミュニケーション、オプションの豊富さ、そして技術そのもの――それらのすべてが、W杯やSRでの豊富な経験に裏打ちされているとなれば、それは頼もしい。そして……日本育ちの若いSOには、とうてい太刀打ちできなかった。
「TL8強」の10番は?
チャンピオンチームだけではない。それは今季のTLを見渡しても一目瞭然だ。
パナソニック以外で4強入りしたチームの10番は、サントリーがニュージーランド代表84キャップのボーデン・バレット。クボタがオーストラリア代表71キャップのバーナード・フォーリー。トヨタ自動車が南アフリカA代表のライオネル・クロニエ。
8強に広げても、神戸製鋼がSRのハイランダーズ出身のヘイデン・パーカーとニュージーランド代表50キャップのアーロン・クルーデン。NTTドコモにはウェールズ代表3キャップのオーウェン・ウィリアムス。さらに三菱重工相模原にはニュージーランド代表21キャップのコリン・スレイド、NECにはイングランド代表21キャップのアレックス・グッド。リコーのアイザック・ルーカスはSRのレッズで、東芝のジャック・ストラトンは同じくクルセイダーズでキャリアを積んでいる。
TL16チームのうち、パナソニック以外で今季国産SOを主戦に戦ったのはキヤノン(田村優)、NTTドコモ(川向瑛)、ヤマハ発動機(清原祥)、ホンダ(朴成基)、サニックス(田代宙士)。NTTドコモはSHのTJ・ペレナラがSO以上の司令塔ぶりを発揮していたから、国産の司令塔の力で8強入りしたのは、田村に加え小倉順平を擁するキヤノンとパナソニックだけだったといえそうだ。
背景には、TLの外国人枠が拡大を続けていることもある。今季は東京五輪に向けたセブンズのオリンピックスコッドを出しているチームに与えられる特別枠とアジア枠を加えれば、最大7人の外国出身選手が同時出場できた(外国出身で日本国籍を取得した選手は含まず)。神戸製鋼やトヨタ自動車など、輸入SOの2人でリレーするチームもあった。
松田は優勝を飾ったあとで言った。
「素晴らしい選手がたくさんいる中で、パナソニックは僕と山沢を10番に選んでくれた。その気持ちに応えたいと思って、結果を出せたのは嬉しい。ただ、まだまだプレー全般に満足してもらえてはいないと思うし、同じチームで2人でライバルとして切磋琢磨しながら成長していきたい」