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ロビーさんも惚れた“2人の10番”松田力也と山沢拓也…「日本育ちの司令塔が優勝」は13季ぶり【ラグビーTL歴代王者の10番は?】
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byL)Getty Images / R)Takuya Sugiyama
posted2021/05/26 17:00
松田力也(右)が試合を作り、山沢拓也が試合を締める――2人の司令塔はパナソニックの層の厚さを象徴していた
外国人選手が司令塔に座ることを否定するわけではない。だが、大学や高校、中学などでプレーする若き司令塔に「日本人に10番は無理」と思われてはいけない――ロビー監督の決断と松田、山沢のパフォーマンスからはそんな決意も伝わってくる。
「この2人には、次のW杯に出る力は十分にある。W杯の10番を担うに相応しいプレーヤーであることを示してくれたと思います」
何より、彼らがトイメンで向き合ったボーデン・バレット――世界最優秀選手に2度も輝いた世界的名手――が敗北にうちひしがれていた姿が雄弁だった。ボーデンにトイメンでこんな思いを味わわせたのは、世界ラグビーでもおそらく片手で数えられる程度だろう。そこに、日本人の2人が名を刻んだ。
松田は続ける。
「ボーデンを自由に動かすと相手のペースになるし、ボーデンにはプレッシャーをかけ続けることを意識しました。チームみんなの意識の高さで、パナソニックの目指した形を出せたと思う。個人的には(ボーデンは)ずっと見ていた選手なので、対戦を楽しみにしていたし、気負いなくできたと思う。でも、ボーデンに余裕を持たせると試合が一気にサントリーのペースになる。1人の力でそこまでのインパクトを持てるということも学べた」
2021年5月23日、TLファイナルは、国産司令塔有力候補の実力を証明したと同時に、彼らが飛躍するためのまたとない学びの場となったはずだ。
願うは、次はテストマッチの場で、W杯の場で、彼らがボーデン・バレットと勝負すること。そして今日と同じようにボーデンを失望させること――。
松田力也と山沢拓也。彼らのリレーは、そんな夢まで見せてくれた気がする。