話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
開幕から14試合でいまだ無傷 「なぜ川崎はこんなに強いのか?」三笘の証言から考える“強さの秘密”
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2021/05/06 17:02
開幕から14試合を終え、いまだ無傷(12勝2分・勝ち点38)の川崎フロンターレ
サイドは争奪戦になるが、それを制した場合、川崎の攻撃はスケールダウンする。2戦目で右サイドバックに入った森下はスピードとアグレッシブな攻撃で勝負をし、稲垣のゴールを演出するなど、川崎の強力な左サイドを凌ぐ活躍を見せた。齋藤もサイドに張らず、フラフラした動きで相手に的を絞らせず、嫌なところに顔を出してボールを受けていた。また、相手のビルドアップのところでプレスをかけ、リズムを奪っていった。
川崎自身の中にも、まだ隙がある。
5月4日の名古屋戦、3点リードしている状況で、相手が齋藤ら力のある選手を次々と出してくる中、4点目をとりに行くのか、このまま終わらせるのか。選手交代で監督の意志が伝わらず、プレスも機能せず、相手に押し込まれる展開になって失点した。
「3点とったので、そこからたたみかけて4点目、5点目と思いましたけど、前節が4-0で勝ったこともあり、気のゆるみを許すことになってしまった。チームとして意思統一が足りなかった。反省しています」
鬼木監督がそう語った通り、「油断こそ最大の敵である」ということだろう。
川崎は「前人未踏の域」へ
それにしても12節時点で、2位とこれだけ差が広がるとは誰が予想しただろうか。
昨季、川崎の独走を許したチーム・選手は、今季の目標に「打倒・川崎」を掲げてきたはずだが、差は開く一方だ。川崎一強は、おそらく今季もつづくだろう。
昨季の記録をすべて塗り替え、圧倒的な強さを見せるシーズンにする――。
鬼木監督だけではなく、選手もみなその高い目標を狙っているのだろう。そして、鬼木監督の「満足していない」姿勢は、選手にも浸透している。
今季の終わりがやってきた時、その成果は前人未踏の域に達していそうだ。