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田中碧「頭の中が整理されて世界が変わった」… アルゼンチン相手にも「もっとやれた」と語る急成長の源は?【インタビュー】
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKaori Nishida
posted2021/05/05 11:04
さわやかな笑みを見せる田中碧。フロンターレ、そして若き日本代表の中盤で存在感を見せている
「俯瞰して見られる」ようになったきっかけ
――試合後の会見で、積極的に声を出していたことについて訊かれた際に「最近は俯瞰して見られるようになってきた」と答えていました。そうなったきっかけ、要因はどこにあるのでしょう?
「フロンターレで昨年、アンカーとインサイドハーフのふたつのポジションを経験したことが大きかったと思いますね。アンカーだとボールに触る回数が多いので、必然的に自分がどういうプレーをすればいいか考える時間が増えたし、インサイドハーフだとボールに触る時間が限られるので、自分がどこに立つと敵がどう動くのか、自分がどこに走ればどこが空くのか、ボールを持っていない時間が長いからこそ考えられた。自分だけじゃなく、相手の変化まで見られるようになったんですよね。
さらに、それを自分で意図的に作り出せるようにもなった。そうした経験があったから、動き過ぎないようにしたり、あえて動いて敵を動かしたり、メリハリを付けられるようになったのかなって。それが、これまでとは一番変わった部分だと思います」
ひとつ前のポジションでも考えてプレーを
――田中選手って、言語化する能力に長けていますよね。頭の中がすごく整理されているなって。
「フロンターレで鍛えられていますからね(笑)。それに、ポジションが前になればなるほど、偶発的なプレーが増えると思うんです。そういう意味では昨年、インサイドハーフをやるようになって、自分としてはそういうプレーでゴールが入ったとしても、そんなに嬉しくないというか」
――偶然に過ぎないから?
「そうです。もともとボランチとして生きてきて、敵がこうだからこう、って考えてプレーを選択してきたので、ひとつ前のポジションになっても考えてプレーをしたいと思っていて。そのおかげで見えるものも増えて、頭の中もより整理されて、世界が変わったのかなという感じがしますね」