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【独占取材】坂本花織21歳、紀平梨花18歳の振付師ブノワ・リショー「大技を大人の身体で学ぶ」…“15歳”に対抗するために
posted2021/04/28 17:01
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
現在、世界でもっとも売れっ子の振付師の一人であるブノワ・リショー。フランス出身、元アイスダンサーであるリショー氏は、坂本花織、紀平梨花、宮原知子、高橋大輔など多くの日本人選手のプログラムも手掛けてきた。特に坂本は、シニアに上がった年から毎シーズン、リショー氏のプログロムと共に成長してきたと言って良い。
ニューヨークに出張して振付セミナーを開催していたリショー氏に、独占インタビューを行った。
新型コロナウイルスのパンデミックでかなり厳しいロックダウンが実行されたフランスで、昨年の春からどのように仕事をこなしてきたのか。
「早急に状況に対応しなくてはならず、楽ではありませんでした。ほとんどの振付は、オンライン作業で行いました。その手法が大好きとは言えないけれど、結果としてはとてもうまくいった。選手たちと作業を続けて行くのに、他に方法がなかったのです。でも今回のように、特別な書類を申請すれば、限られた条件で出張することも可能なのはラッキーだと思っています」
坂本花織の世界選手権の採点への戸惑い
今シーズン、世界選手権6位だった坂本花織。彼女が平昌オリンピック出場を果たした2017/2018年シーズンから、リショー氏は毎シーズンプログラムを手掛けて、手塩にかけてきた。彼女の今年の戦いぶりをどう見たのか。
「世界選手権に関しては、正直にいうと得点にとても驚きました。特に私の担当部分であるコンポーネンツの点は、予想していたものではありませんでした」
低すぎたということですね、と確認すると「イエス」と静かに頷いた。坂本自身、得点が伸びなかったことに対する戸惑いを告白していた。