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【独占取材】坂本花織21歳、紀平梨花18歳の振付師ブノワ・リショー「大技を大人の身体で学ぶ」…“15歳”に対抗するために 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2021/04/28 17:01

【独占取材】坂本花織21歳、紀平梨花18歳の振付師ブノワ・リショー「大技を大人の身体で学ぶ」…“15歳”に対抗するために<Number Web> photograph by Getty Images

4月に行われた国別対抗戦での坂本(左)と紀平

「興味深いことに、国別対抗戦で彼女が見せた演技と、世界選手権の演技は内容的にはほとんど同じでした。これについてはちょっと研究して、その原因を理解しないといけないと思っています」

 彼の指摘するように、坂本の得点は、ストックホルム世界選手権に比べて国別対抗戦の方が総合で20ポイント以上も高かった。

「来季はオリンピック。再びこのようなことが起きないようにしないといけません」 

「己が何者なのか理解することは重要です」

 彼女のSP「バッハ・ア・ラ・ジャズ」は、2017年に振り付けたSP「月光ソナタ」の新バージョンのつもりで制作したプログラムだったという。ルール改正で全てのジャンプを後半に組み込むことはできなくなったものの、確かに前半の静かなメロディから、がらりとムードを切り替えて、後半のアップテンポで豪快なジャンプで盛り上げていく構成は良く似ている。

「私は常に個性的な音楽を選ぶことを心がけていますが、このところバッハで滑った選手がいなかったこともあった。そして後半にジャズのアレンジを持ってくるという面白さが、大人になった今のカオリにぴったりだと思ったのです。とてもうまく仕上がった作品だと思います」

 過去3年の彼女の成長を、どう感じているのか。

「彼女は大人になりました。若いうちは、自分のやっていることの意味が全て理解できるわけではありません。でも大人になるにつれ、自分のこと、やりたいことの意味が少しずつわかってくる。トップレベルのスポーツ選手になるためには、己が何者なのか理解することは重要です。彼女はその成長の過程にいます」

 来季は、代表に選ばれれば坂本にとって2度目のオリンピックになる。振付師として、彼女にどのようなものを求めるのか。

【次ページ】 紀平梨花は「個性を確立しようとしている段階」

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