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目の前で三木谷社長がステフィン・カリーとビデオ通話…河村勇輝が楽天とマネジメント契約した“本当の理由”
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byB.LEAGUE
posted2021/04/27 17:00
今季は東海大でプレーしつつ、特別指定選手として横浜ビー・コルセアーズでもプレーした河村。16試合に出場し平均21.16分プレー、6.0得点、3.4アシスト
――続いて「アスリートとしてのキャリア構築支援」というのは具体的にどのようなことなのでしょうか?
原 将来的には、海外のリーグも視野に入れたいと考えております。楽天は社内の公用語を英語にしていることもあって、日常的に海外のスポーツ団体や企業とのコミュニケーションや関係構築ができる環境にあります。その関係を活用して、彼のキャリアをサポートしていけたらと考えております。
――高校生の頃の河村選手は、国内に目が向いていた印象がありますが、最近は様々な場所で「世界」という言葉を口にする機会が増えてきています。楽天との契約が彼の目線を引き上げたところもあるのかもしれませんね。
原 多感な年齢ということもあり、これからいい意味でますます価値観が変わっていくと思います。また先日は、社長訪問をしたとき、三木谷(浩史・楽天会長兼社長)が河村選手のためにその場でカリー選手とビデオ通話をつなぎ、英語で会話している様子に驚いたようで、最近は英語の勉強にも力を入れ始めました。
――河村選手との歩みの中で、何か目標とされているものはありますか?
原 オンコートでの目標として彼と掲げているのは、2024年のパリ五輪、そして2028年のロサンゼルス五輪です。ビジネス面だと、彼の価値を最大化し、次の世代のバスケ界を押し上げることです。なんと言えばいいか……バスケ界のターニングポイントとして、未来に河村勇輝の名前が残ることですかね。「あの時代、八村選手や渡邊選手がNBAで活躍したよね」「あのころBリーグが盛り上がったよね」というような感じで「河村選手の存在ってやっぱり大きかったよね」と語られるような。彼がそういう存在になれるよう、力を注いでいきたいです。
学生アスリートが企業と関わる意義
昨年秋、筑波大男子バスケットボール部が大樹生命とスポンサー契約を結んだ。河村の盟友である大倉颯太(東海大4年)も、12月にエイベックスとエージェント契約を締結している。
テクノロジーの発達や、競技力の向上に伴い、日本のバスケットボールビジネスには様々な変化の波が訪れており、それが一気に大学界にまで届いた格好だ。
学生アスリートが企業と関わり合うことの意義について、河村はこうコメントする。
「僕は、スポーツ界におけるバスケットボールの認知度を少しでも高めていきたいと考えていますが、個人の力には限界があると感じています。企業と積極的にコミットし、選手個人の努力を企業の力とうまく連動させることができれば、さらに大きな変革の力が生まれるのではないかと考えています」
企業の力が、大学生たちの大きな助けになることを願いたい。