原　日本のバスケットボール界において、彼ほど実力と人気が噛み合った選手は今までいなかったのではないだろうかと思ったと同時に、河村選手、そしてバスケットボールが持つブランド価値を、一過性のもので終わらせたくないという思いが非常に強かったです。ビジネスのプロフェッショナルである我々が伴走することで、この流れを継続させ、河村選手、そして日本のバスケをもっと前に進められるのではないかと思いました。

　楽天のスポーツへの関わり方はユニークでして、スポーツチームのオーナー企業としての顔と、世界的なスポーツチームへの協賛主としての顔を持っています。さらに、私の所属しているチームでは、河村選手などのアスリートやスポーツ団体のスポンサーシップを他企業へ提案するなど、スポーツ特化型のエージェンシーとしてスポンサーシップのみならず、様々なスポーツビジネスの開発者としての顔を持っています。一企業がここまで包括的かつ大規模にスポーツ事業に取り組んでいる例は、国内はもちろん、世界的にもまれだと思いますし、そこで培ったノウハウや企業としての体験を、等身大のスポーツの価値としてお伝えできるのは非常に大きな強みだと思っています。

　そんなエキサイティングな環境で働いているなか、彼が私の母校の東海大学に入学し、バスケ部の後輩になるという偶然が重なりました。これはいいタイミングだと思い、プロジェクトを発案し、これが発足してマネジメント契約に至りました。

プロジェクト発案者の原毅人氏。現役時代は青森ワッツ、埼玉ブロンコス、大分・愛媛ヒートデビルズでプレーした　©Rakuten Group, Inc.

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マネジメント契約によって河村が得た覚悟

――それまで、楽天がサポートしているスポーツ団体や個人は、FCバルセロナやゴールデンステイト・ウォリアーズ、イニエスタ選手らを筆頭とする世界的なスポーツプロフェッショナルが中心でした。河村選手も「世界を代表するようなスターと契約している楽天さんから、僕のような無名選手にオファーが来るなんて信じられなかった」と当時コメントされていましたが、実際に彼と話をしたときはどのような反応でしたか？

原　コメントの通り、率直に驚いていましたね。そりゃそうだよなっていう感じですけど（笑）。ただ、「楽天としか見られない景色があるかもしれないし、様々な出会いや経験を提供したい」と伝えるうちに、「僕が、メディアや企業活動を通して日本のバスケを次のステップに高めていくという覚悟を持ちました。僕も楽天さんのように世界で活躍していきたいので、ぜひご一緒させてください」という言葉をいただきました。当時、高校生初のB1リーガーとして活躍し、多くの注目を浴びたことで、自分が奇しくもそういう対象になったということを受け入れられたんだと思います。

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