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阪神レジェンドは何と戦っていたのか… 2010年金本知憲「まだ出来るから(笑)」、1985年掛布雅之「ハレー彗星のおかげ」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKyodo News
posted2021/04/23 06:00
掛布雅之や金本知憲ら阪神レジェンドは味わい深い名言を残している(2015年撮影)
現役ラストの本塁打が満塁弾なのに“淋しい”ワケ
<名言4>
わしらプロ野球選手は芝居の役者と同じ。
(藤村富美男/Number83号 1983年9月5日発売)
◇解説◇
時は昭和31年6月24日、阪神甲子園球場の9回裏二死満塁、阪神は広島相手に0-1のリードを許していた。ここでバッターに立ったのは、プレーイングマネージャーだった「ミスター・タイガース」こと藤村だった。
今で言う「代打オレ」だが、これが見事に的中する。代名詞である“物干しザオ”と呼ばれた長いバットで、相手投手・長谷川良平の投じた3球目のカーブをフルスイング。レフトスタンドへと突き刺さった。
現役生活最後のホームランがサヨナラ満塁アーチ。千両役者として知られる藤村だが、このように回想している。
「劇的なわりには淋しい気持ちやったね」
それはなぜか。実はこの一戦、ダブルヘッダー第1試合ということもあって観客は1万3000人だった。
「ガラガラやったので気分が乗らんかった。(中略)ジャイアンツとやればいつも満員になっとったし、大観衆によって全員が燃えたもんや」
やはりプロ野球は見られてナンボ。甲子園に大観衆が戻る日を待ちわびているのは今の選手も一緒だろう。
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