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世界中が悩む点取り屋問題…“クローゼ後”のドイツが取り組むFW育成プロジェクトとは
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2021/03/18 17:00
圧倒的な決定力を誇るレバンドフスキ。彼が語った「点取り屋とエゴイスティックさ」の考察は興味深い
「シュートは打てばいい、と思っていないか?」
1960~70年代における稀代の名将、へネス・バイスバイラー監督がFWの居残り練習を行った際の逸話だ。バイスバイラー監督のパスに合わせてFWがシュートを決める。しかし、何十本決めても練習は終わらない。たまらず1人の選手が「いつまでやるんですか?」と尋ねたら、こう答えたという。
「シュートは打てばいい、入ればいいとだけ思っていないか? それぞれのボールに対し、どれだけの緊張感を持っている? どれだけ決めきろうと思って打っている? ゴールへの道が見えているのか? すべてが噛み合っているようなシュートが見られたら、そこで終わりにする」
試合でも生きるスキルを習得できなければ、どれだけ時間をかけようとも、極論すればその練習は意味がない。プロとして、さらにトップレベルを目指す者であるなら、試合で生きるスキルを身につけるために、どれだけ自分と向き合えるか。
GKが最適なポジショニングで最高の準備をしていたとしても、ものともせずに決めきる力を身につけろ。どんなときも魂を込めたシュートを打て。
それは、語り継がれるべき強烈なメッセージだと思う。
大事なのは入念にプランを練り上げ、実行する継続性
『FWプロジェクト』はU-21代表だけでスタートした。今後、世代別代表監督、コーチが継続的に取り組めるように入念にプランを練り上げている段階で、U-15世代から通して指導できるようにしているそうだ。やはり、大事なのは継続性だ。
「とりあえずやってみよう」の姿勢も悪くないかもしれないが、見切り発車で数回やって結果を求めるのは、また違う話だろう。やると決めたなら、そのための準備をして、説得材料を整理して、修正点をあぶりだして、徹底的に分析しながら取り組んでいく。そんな姿勢が欠かせない。
代表での活動を一過性で終わらせないためには、所属クラブとのコミュニケーションも重要になる。
ディサルボは言う。