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「レアルはミスしないんだよ」CLでアタランタが味わった力負け… それでも「俺らは攻めるサッカー」を貫く
posted2021/03/19 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
11人対11人なら、うちはレアル・マドリーとサシの勝負ができる。
アタランタ指揮官ジャンピエロ・ガスペリーニが抱いてきた自負は、粉々に砕けた。
3月16日、R・マドリーとのCL決勝トーナメント1回戦2ndレグに臨んだアタランタは1-3で敗れ、大会敗退が決まった。
イタリアの小さな田舎クラブが欧州16強まで駆け上った夢物語は、これで終幕した。
試合後、「これまでの歩みには満足している」とガスペリーニは言ったが、苦虫を噛み潰したような表情を見れば、それは嘘だと誰にもわかる。
「もっとうまくやりたかった」と彼は呻いた。
アウェーでの第2戦、モチベーションは高かった
今大会のグループリーグでは、王者リバプールや強豪アヤックスを敵地で破ってきた。レアルといえども恐るるに足らぬ。
試合序盤の退場者によって防戦一方を余儀なくされ、0-1で落とした1stレグには強い悔恨が残った。ガスペリーニは「11人同士だったなら……」と呪詛のようにくり返した。
マドリードでの2戦目に対しモチベーションは高かった。予想された2トップではなくFWムリエルを1トップとする3-4-2-1で臨んだアタランタは、試合序盤から激しい中盤争いを挑んだ。自陣に攻め込まれても、DFの爪先は正確にボールを狩った。
一方、主将セルヒオ・ラモスやFWベンゼマといった主力が復帰してきたレアルは慎重な出だしだった。とりわけセルヒオ・ラモスがナチョ、バランと組んだ最終ラインはアタランタの攻撃陣をペナルティーエリアに寄せつけず、試合は拮抗した。
猛禽類のようなモドリッチの動きで……
ところが、ゲームの均衡は意外な形で崩れた。
34分、味方からのバックパスをアタランタGKスポルティエッロは不用意に蹴り返した。力なく飛んできたミスキックを足元に収めたレアルMFモドリッチは、獲物を捉える猛禽類のように敵ゴール前へ迫り、焦るDFたちを引きつけた後、冷静にノールックパスを放った。フリーで走り込んだベンゼマが難なく流し込み、レアルが先制した。