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「Jリーグで働きたい」がバズったけど…女性マネージャーが持った違和感って? 早大ア式蹴球部の部員日記が面白い
text by
森迫雄介Yusuke Morisako
photograph byWaseda Sports
posted2021/03/09 17:02
今季からVファーレン長崎に所属する鍬先祐弥や、今後の活躍が期待される西堂久俊ら選手やチームスタッフ全員で「部員ブログリレー」を執筆している
鍬先が感じた「大学サッカーの意義」とは
鍬先は大学サッカーで過ごした4年間と、2年生の時から始まった部員ブログリレー企画をこうも振り返っていた。
「大学、特に早稲田には、自分たちで環境を作り、かつその中で何をどうやって表現するかを考え続ける主体性があったので、思考停止することなく常に色々なことを考えながら行動できるようになりました。3年間部員日記を書いてきたことで、日頃の練習に対する心の持ち方、部に属する人たちとのコミュニケーションに対する意識も変わりました。『こいつ実はこんなこと考えていたんだ』という発見もあり、以前より他人に興味を持つようになりましたし、人として成長できたのかなと思います」
2年生サイドアタッカー西堂が記した成長度合い
成長を実感しているのは最上級生だけではない。部員ブログリレーの仕掛け役である林隆生マネージャーはこのように話す。
「昨年と比べて2年生から4年生の全員が人として大きくなりましたが、特に2年生の成長具合は、部員日記を見てもらえばよく分かるのではないかと思います」
その代表的な存在が期待のサイドアタッカー、2年生の西堂久俊だ。
リーグ戦の終盤に結果を残してレギュラーを奪取し、1月に開催された全日本大学サッカー選手権の代替大会「#atarimaeni Cup」では出場した全試合で得点に絡む活躍を見せるなど、覚醒の気配を漂わせている西堂だが、最初からこの姿を見せられていたわけではない。ルーキーイヤーの2019年は前期こそコンスタントに出場機会を得ていたが、結果を出せない試合が続き、後期はベンチ入りの機会すら限られていた。
「1年生の時は自分が上手くなることばかり考えていました」と西堂は振り返る。
自分がより良いプレーをするため、点を取るため、プロになるため。サッカーをしている理由が自分本位であったが故に、自分がア式でプレーをしている意味を理解しきれていなかったという。当時の西堂の苦悩ぶりは、シーズンオフに行われたインタビュー企画での「まだア式にきてよかったとは思えていない」という発言からもうかがえる。
だからこそ今年度、西堂が部員日記で書いた内容からは、文中の表現を拝借すれば「パラダイムシフト」と言って差し支えないほどの変化を感じ取ることができる。
「僕らはサッカー選手である以前にまず人間だよな。人としてのパーソナリティは無視していられないなって。ピッチ内だけの人間にはなりたくないな。そう思うようになりました」(西堂の部員日記より引用)