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明大は「100点に近い」 2021年のスカウティングで大成功したのはどこか?〈箱根駅伝・予選会出場校編〉

posted2021/03/08 11:02

 
明大は「100点に近い」 2021年のスカウティングで大成功したのはどこか?〈箱根駅伝・予選会出場校編〉<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今年の箱根駅伝の優勝候補と目されながら、総合11位でシード権を失った明治大学

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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Nanae Suzuki

 今年の箱根駅伝でシード権を失ったチームは、かなり強力なスカウティングに成功している。とりわけ明治大は箱根上位校にも劣らず、満点に近いのでないだろうか。

明大)新入生は“タレントぞろい”?

 13分台の選手と都大路出場組は6名が入学予定で、なかでも尾崎健斗(浜松商業・13分54秒88)は都大路1区2位と結果を残している。惜しくも6秒差で区間賞は取れなかったが、粘り強いタフなランナーだ。マイペースだが、人の意見に耳を傾ける謙虚な人間性も尾崎の魅力だ。

 新谷紘ノ介(世羅・13分59秒32)は都大路では脇腹痛を発症するというアクシデントに見舞われたが、主将として懸命な走りを見せた。その他にも、都大路に出場していないが、5000m宮崎県高校記録を持つ甲斐涼介(宮崎日大・13分58秒86)など13分台ランナーに加え、箱根1区を駆けた児玉真輝(1年)の後輩の鈴木祐太(鎌倉学園・14分20秒57)、溝上稜斗(九州学院・14分37秒86)ら将来性のある選手が進学予定で、明大のスカウティングはかなり質が高いと言える。

 前回の箱根駅伝で明大・山本佑樹監督は「優勝を狙う」と強気だったが、1区、2区で崩れ、まさかの11位でシード権を失った。それでも箱根経験者が6名も残り、新2、3年生がさらに成長していけば、タレント軍団の新1年生とともに来年の箱根駅伝予選会の突破はもちろん、本大会でも5位以内を狙える編成になりそうだ。明大は、まだ「眠れる獅子」だが、これから目が離せないチームになる。

中央大)19名のスポーツ推薦合格者

 中央大は19名のスポーツ推薦合格者を発表しているが、かなり熱いスカウティングになっている。

 都大路に出場した選手は6名。1区21位の阿部陽樹(西京・14分15秒45)、4区2位の山平怜生(仙台育英・14分04秒18)6区16位の矢萩一揮(倉敷・14分12秒20)、6区9位の佐野拓実(洛南・14分14秒39)、6区15位の中野倫希(豊川・14分14秒67)と、強さを感じさせる新入生がズラリと並ぶ。

 山平は非常にスピードのある選手で、同区間で服部壮馬(洛南)ら強力なランナーよりも好タイムを出しており、1年生で主力に成り得る逸材。佐野は、桂中、洛南と主将を務めており、どんな区間でも安定した走りができる、いわゆる監督が好きな選手。都大路組以外では、東海林宏一(山形南・14分01秒97)が頼もしい存在になりそうだ。山形県高校駅伝、東北高校駅伝ではともに1区10キロを走り、区間賞。県駅伝では区間2位に1分12秒差をつけて圧倒的な走りを見せた。佐野とともに1年目から活躍が期待される。

 中央大は、前回の箱根は期待した1区、2区、3区がブレーキになり、総合12位に終わった。期待されたルーキーの吉居大和(1年)も力を発揮できなかったが、7名の経験者が残る。1、2年生に活きのいい選手が多いので、新1年生とマッチングすると、どういう変化が起こるのか。藤原正和監督の育成手腕が問われるが、うまくいくと予選会突破はもちろん、本戦でも常連校と互角に戦い、10年ぶりのシード権獲得も見えてくるだろう。

【次ページ】 神大)スタミナ型よりもスピード重視 

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