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元日本代表3人もホメた「なぜフロンターレ三笘薫のドリブルは抜けるのか?」<J1最注目の2年目>
posted2021/02/26 11:05
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
J.LEAGUE
福田正博「キャンプで三笘本人と話したこと」
■福田正博(元日本代表FW)
2年目の三笘に対して、対戦相手は当然マークを厳しくしてくるだろう。そんななか彼がどれくらいプレーできるかは2021シーズンのJリーグを見るうえでのひとつの注目点かもしれない。
今季キャンプ取材に行った際、三笘本人と話すことができた。彼自身は「自分にマークが集中するのでは」と言われていることをあまり気にしていないと言っていた。自分にマークが集中すれば、当然他の選手が空いてくることを見越した賢さを持っているからで、昨季に掴んだ自信もあるのかもしれない。
彼のプレーを見てまず思うのは、足元で受けて仕掛けるドリブルが上手いのはもちろん、ディフェンスがプレッシャーをかけるとその背後を取るなどボールを受ける際の動きも秀逸だということ。
ドリブルの緩急、相手との間合い、独特の感性は間違いないうえに、相手がプレスをかけてくるとすっとアウトサイドで味方にパスを出したり、背後にスペースがあればそこを簡単に突いてくる。一般的な選手なら、ドリブルが得意ならドリブルだけとか、相手の裏を取ることが上手い選手ならドリブルが苦手とか、特徴がはっきりしているものだが、三笘の場合は選択肢をいくつも持っていることで対峙するDFはあっさりと翻弄されてしまうのだ。
なぜ三笘は簡単に裏を取れる?
バルセロナのリオネル・メッシのプレーを見ると、試合中に簡単に相手の背後を突くシーンが印象に残る。なぜ簡単に裏を取れるのか? 相手DFにしたらボールを持たれるのが嫌で間合いを詰めざるを得ない。そうして間合いを詰めるとどうしても背後にスペースができてしまう。足下の技術があるからこそ、裏を取ることが容易になるのだ。
昨季、川崎の試合を解説する機会があり三笘のプレーを何度も見たが、同じようなシーンを数多く見た。DFは三笘にドリブルで仕掛けられるのを嫌がり、どうしても間合いを詰めざるを得ない。すると、三笘はそんな状況を冷静に判断し、相手の背後を突いてチャンスにつなげていた。
1対1の状況になればファウルなしで止めるのは困難に思えるような場面も多く見られた。当然、今季は昨季以上に対戦相手も対策を取るとは思うが、彼を止めるのは簡単ではないだろう。
昨季は、途中出場から流れを変えるジョーカー的な起用も多かったが、今季はより先発で出場する機会が増えるはず。そんななか、彼は課題の1つとしてフィジカルの強化を挙げていたが、もしかするとそれはJリーグのその先にある海外移籍などを見据えているのかもしれない。昨季の活躍を見れば、海外移籍は時間の問題かもしれないし、まだまだ伸びしろは大きく、どこまで成長するか本当に楽しみな選手だ。