岩政大樹「歯を食いしばっているイメージがない」

■岩政大樹（元日本代表DF）

　三笘は見るからにタッチが柔らかく、スピードがあるなどストロングポイントがいろいろある。加えて対峙するDF目線でいうと、身長178センチとサイズがあるのが厄介なところではないか。

　ちょこまかした速さではなく、相手をぶっちぎるスピードがありながら、同時にサイズがあるというのは、これまで日本人にはあまりいなかったタイプだ。日本人のドリブラーといえば小柄で小回りが利く選手が多かった。

　加えて、ボールを受けてからではなく、受ける前の動きも秀逸なので、対戦相手にとっては脅威になる。

　動きがしなやかで、体に変な力が入っていないように見える。プレー中の顔を見ていても、歯を食いしばっているイメージがないのではないか。同じ川崎の家長昭博も似たタイプともいえるが、ボールを持つと顔や体に力みが出てしまう選手も少なくない。だが、三笘の場合はそういうものがなく力の使い方が上手いのだと思う。

©Getty Images

　対戦相手は三笘に仕事をさせないために、まずボールを持たれたくないだろうし、そのためにはボールを入れさせないことを考えるしかないのでは。とはいえ、川崎はほかにもいい選手は多く、抑えるのは簡単なミッションではないだろう。

　楽しみな選手であるのは間違いない。ただ昨季の活躍を振り返ってもこのまま活躍を続ければ、どこかのタイミングでヨーロッパのクラブへ移籍してしまっても不思議ではない。それはもしかしたら今夏かもしれないし、川崎の連覇ということを考えても、それがいつになるかは注目といえるだろう。

　昨季、絶対的な強さを見せた川崎だが、そのなかで三笘の存在が大きなメリットになっていたのは間違いなく、彼が抜ければ勝ち切れる試合が減る可能性も十分にある。

（【降格予想編を読む】＜J1降格4チームはどうなる？＞元日本代表3人が徹底予想「昇格組の徳島、福岡以外で危険な“2クラブ”は…」　へ）