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元日本代表3人もホメた「なぜフロンターレ三笘薫のドリブルは抜けるのか?」<J1最注目の2年目>
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/02/26 11:05
昨季デビュー。13得点を挙げた三笘薫
岩本輝雄「ネイマールを思い出させる」
■岩本輝雄(元日本代表MF)
連覇を目指す川崎のストロングポイントの1つが三笘の存在なのは間違いない。
とくに左サイドからペナルティエリアの角に入ったときの仕掛けは強烈で、昨季は対峙したDFがほとんどやられていた。スピードがあってタテに突破できるだけでなく、中央にカットインしてのシュートもあるからDFはズルズルと下がるだけになってしまう。しかも、自分で仕掛けるだけでなく味方を使うのも上手くアシストも多い。
今季は各チームが三笘対策を講じてくると思うが、川崎もさらに、その対策を考えているはず。三笘がボールを持ったときにサイドバックがオーバーラップして積極的にサポートするだろうし、三笘にマークが集中すれば大島僚太や田中碧らのインサイドMFや逆サイドの家長昭博が空いてくるわけで、そこを突くはず。
三笘がドリブルしている姿はブラジル代表のネイマールを思い出させるが、相手を抜いた瞬間の次の動作が速い。アウトサイドで強いパスも出せるのも武器だし、ドリブルでタテにもヨコにもいけるのは魅力。パッと見は大股で速そうに見えないと言われているようだが、そんなことはなくすさまじい速さだ。
「守備をしない」指摘もあるが…
ひとつ心配なのは、多くの選手は1年目に活躍すると、2年目にさらに活躍しようとして、たとえば体を大きくしようと筋トレなどをしてしまうこと。ただ、彼は細くてもいい筋肉をしているし、筋肉をつけることでしなやかさを失い兼ねないので、そこには注意してほしい。体が強くなった代わりにスピードが落ちてしまえば彼のよさが消えてしまう。
あまり守備をしないとの指摘もあるようだが、それは川崎の戦術的な部分と関係があるのでは。攻められた際に三笘が攻め残っていることが対戦相手にとっては脅威になる。三笘の攻撃力を考えればチームとして守備に戻るよりも、前線に残っていた方が相手に与えるプレッシャーが大きいと考えているのではないか。
個人的には早く代表でプレーする姿を見てみたい。森保一監督には前線の左に三笘、右に久保建英というコンビをぜひ1度試してもらいたい。
懸念として川崎の選手は、代表に呼ばれると不思議と筋肉系のトラブルで離脱してしまうケースがあること。それは代表と川崎のサッカーの違いが関係していると推測するが、川崎のゆっくりと大事にボールを保持するスタイルに比べると、代表ではもっと上下に速いスピードを要求されるので肉離れなどを起こしてしまうのではないか。それでも三笘の能力ならどちらにも対応できるだろうし、いまから代表デビューが楽しみである。