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ダルビッシュの「プレーオフ進出確率」は90%… では、「地区優勝に1番近い」日本人選手は誰か?
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2021/02/18 17:02
今季からパドレスに入団したダルビッシュ有は、日本時間18日にアリゾナ州ピオリアでキャンプインした
それは同じアメリカン・リーグ(AL)東地区のヤンキース(93勝69敗、勝率.574)やブルージェイズ(87勝75敗、勝率.535)がリーグ全体でも上位を占めているから。彼ら2強に引っ張られる形でレッドソックスの勝敗(勝率)予想も上がり、2チームに次ぐ3位の勝敗(勝率)でも、エンゼルスを含むALの他の2地区の2位球団より上回ると予想されているわけだ。
日本のプロ野球ではセ・リーグとパ・リーグの戦力格差があると言われているようだが、MLBにおいても、地区によって戦力格差が存在する。
ドジャースとパドレスが「2強」と見られているNL西地区で、他の3チームの合計のプレーオフ進出確率が9.3%であるのに対し、ツインズとホワイトソックスが「2強」と見られているAL中地区では、他の3チームの「プレーオフ進出確率」は合計29.3%もあるので、ツインズのプレーオフ進出確率は65.0%に留まり、パドレスのそれは90%を超えてしまうわけだ。
選手査定の総合指標「WAR」とは?
日本のプロ野球でも開幕前に元プロ野球選手が自身の経験やキャンプ視察を踏まえて順位予想することはあると思うが、それはある意味、とても曖昧なものだ。
例えば、「FanGraphs」だけではなく、セイバーメトリクス系の有力サイト「Baseballprospectus」(https://www.baseballprospectus.com/)でも予想システムのPECOTA(Player Empirical Comparison and Optimization Test Algorithm)を用いて独自の予想順位を出しているが、PECOTAの予想について、MLBネットワークの番組内で「通算3度も本塁打王になったノーラン・アレナドをトレードで獲得したカージナルスが、NL中地区3位なんておかしい」などと反論する意見もあった。
ただ「FanGraphs」や「Baseballprospectus」は、数値に基づいた具体的な予想を立ている。その数字の一つがWAR(Wins Above Replacement)だ。
WARはかつて、「プロ野球経験のない数字マニアが作った信頼性に欠ける数値」などと批判されたものの、今ではMLB所有のネットワークでも積極的に取り上げられるなど、すっかり市民権を得た“選手査定の総合指標”となっている(著者注:その概念や算出方法については日本語版のWikipediaに詳しい)。