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鬼才・ビエルサが負けても、批判されてもスタイルを変えないワケ【自分の信じているものと共に死ぬ】
text by
赤石晋一郎Shinichiro Akaishi
photograph byGetty Images
posted2021/02/20 11:00
マンUに6対2と大敗したが、そんなことで自らのスタイルを変えるビエルサではない
リーズの弱点と長らく言われてきたのが攻守におけるセットプレーの弱さだ。オープンプレーとセットプレーは、別物であるとされている。セットプレーはキックの精度やポジション取りのような訓練して鍛えられる要素、一方で競り合いでの体格差やボールの転がり方など運による不確実な要素も存在する。
主戦CBであるクーパーの身長は186cm。プレミアリーグには190cm級の選手が揃っており186cmの身長では優位性は保てない。だが、前述のゴールシーンでは193cmのMFマクトミネイと194cmのDFマグワイアの間に巧みに入り込んでヘディングを決めたクーパーのプレーを確認することができる。
この得点についてビエルサはこう言及している。
「まさに私が求めている『成長プロセス』なのです」
「得点の形を見ると、セットプレーに関しては、リーズはマンチェスター・ユナイテッドを上回りました。私たちは4つのセットプレーを生み出し、うち1ゴールを決めました。彼らは3つのセットプレーに対して1ゴールを決めました。この数字はリーズというチームの進化だと見ることもできるのです。
過去14試合で、空中戦で最も負けた選手の1人にクーパーがいます。これはそういうものなのです。なぜなら、彼は相手の一番ヘディングが得意な選手をマークする役割なのですから(でも、マンチェスター・ユナイテッド戦ではクーパーは空中戦からゴールを決めた)。それが、まさに私が求めている『成長プロセス』なのです。
改善するために犯したミスを活用し最善に近づける。私たちの意図は、マンチェスター・ユナイテッド戦で犯したミスを修正してより良くなるということなのです」
クーパーは『Who Scored』(サッカーサイト)の選ぶ、プレミアリーグ前半戦のベスト11にピックアップされるなど、識者から高い評価を受けたプレイヤーの1人となった。
後半になってポゼッションで優位に立ったリーズはチャンスを作り始める。しかし決めきれず、逆に不運な形から2失点。計6失点を喫したことで、DFラインからボールを繋ぎ試合を組み立てる「リーズの攻撃はいいが、守備の弱さをどうにか改善できないのか」とメディアは一様に騒ぎ始めたのだ。
こうした状況について、ビエルサは淡々と反論した。