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「パンツァー(戦車)」と呼ばれた屈強なMF、マテウスが語るリンクマンの重責【ドリームチーム選出】
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byPatrick Boutroux/L’Équipe
posted2021/02/21 17:00
バイエルン・ミュンヘンには合計12シーズン在籍。ブンデスリーガ優勝6回などに貢献した
――およそ20年前に現役を退いて以来、今日までのリンクマンの進化をどう見ていますか?
マテウス 僕の人生のクラブであるバイエルン・ミュンヘンのこの数カ月を見たとき、レオン・ゴレツカは2020年のリンクマンのプロトタイプであるように思う。僕のこのポジションの解釈は彼とまったく同じではないが、僕らには共通点がいくつかある。とりわけボールを失った局面での対応がそうだ。レオンは瞬く間に自陣ゴールまで戻る。同時に彼はとても攻撃的で、相手ペナルティエリア内に長く留まることを好み、自分の役割はパスでプレーを構築することだと心得ている。彼こそはbox to box と呼ばれる選手の典型だ。
僕はスペースさえあればシュートを打つのが好きだった。またドリブルでも頻繁に仕掛けて、今日のほとんどのリンクマンとはタイプが違っていた。現代のサッカーで集中力を保ちながら90分間強度の高いプレーを続けるには、それを可能にするフィジカルコンディションが求められる。ほんの一瞬でも気を抜けない。というのもリンクマンは、攻撃と守備を繋いでチームのバランスを保つポジションであるからだ。
リンクマンは最も重い責任を担っている
――主な仕事は何になるのでしょうか?
マテウス ボールを失った際には守備を助ける。攻撃の選手たちを繋いでサポートする。ときにタイミングを外したり、ロングボールで攻撃を構築する。リンクマンこそは、フィールドプレーヤーのなかで最も重い責任を担っている。
――あなた自身はとても攻撃的なリンクマンと評価されていますが……。
マテウス 僕は本物の10番ではないし8番や6番でもないと言われた。チームメイトが自信を持ってプレーするために、またしっかりと組織されたゾーンのなかでプレーしているという安心感を与えるために、僕はリンクマンとしてバランスをとる必要があった。それに僕はボールを足元に置いてのプレーが好きだった。プレーがよりスピーディかつアスレティックになっている今日では、それはもはや不可能だ。ボールを奪ったら、即座にパスを出さねばならないのだから。
――このポジションであなたの印象に残っている選手は誰ですか?