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【デビュー弾】南野拓実と相性抜群 吉田麻也もサウサンプトン時代に経験 “オーストリアのクロップ”の戦術とは
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/02/08 17:03
サウサンプトン初戦で即結果を残した南野拓実。得点後はSNSで現地リバプールファンが「タクミを連れ戻せ」など悲鳴に近い声を挙げたとか
振り返ると、ハーゼンヒュットル監督がイングランドに渡ってきた18年12月当時、サウサンプトンには戸惑いが見えた。昨年1月までサウサンプトンに在籍し、ハーゼンヒュットル監督の下でもプレーした吉田麻也は、チームの変化を次のように説明していた。
「練習もプレスのトレーニングばかりに」
「新しい監督は、運動量とプレスが特長。練習もプレスのトレーニングばかりになった。この高いインテンシティを続けられるどうかかが鍵になる。これまで、サウサンプトンはそういうサッカーをしてこなかったので、チーム全体で適応していくことが必要。フィジカル面で慣れることも大事だが、頭の中でも戦術を理解し、体が自動的に動くようにしないといけない」
ハーゼンヒュットル監督の前任は、ウェールズ人のマーク・ヒューズだった。指揮官の志向をわかりやすく言えば、英国式の手堅いサッカー。5バックで守備を固め、ロングカウンターからゴールを狙うスタイルを徹底していた。
だが、ポゼッションサッカーを得意とするサウサンプトンのプレースタイルとの乖離が目立ち、成績不振に陥ったことで解任。そこで、クラブ首脳陣が白羽の矢を立てたのが、レッドブル・グループのRBライプツィヒを強豪クラブに仕立てたハーゼンヒュットルだった。
“オーストリアのクロップ”の異名も
ハーゼンヒュットル監督と言えば、前線からの「ハイプレス」と、最終ラインを高い位置に置く「ハイライン」の戦術が代名詞だ。
戦い方が似ていることから、「オーストリアのクロップ」の異名を持つ。当然、選手にはアグレッシブな動きや体力、戦術理解が求められ、「練習も大きく様変わりした。休みもなくなり、練習はタフで、インテンシティも高くなった」(吉田)という。そのせいか、就任当初のサウサンプトンは後半になると息切れを起こしたり、選手によっては動きに迷いが見えた。
最たる例が、サウサンプトンで2トップの一角に入るチェ・アダムズだろう。