欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
【デビュー弾】南野拓実と相性抜群 吉田麻也もサウサンプトン時代に経験 “オーストリアのクロップ”の戦術とは
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/02/08 17:03
サウサンプトン初戦で即結果を残した南野拓実。得点後はSNSで現地リバプールファンが「タクミを連れ戻せ」など悲鳴に近い声を挙げたとか
チームメートたちも、南野を信頼してパスを出しているようだった。リバプール時代はフリースペースでボールを要求しても、なかなかパスが出てこなかった。だがサウサンプトンでは、チームが求めている動きをすぐに実践し、仲間の信頼を一気に掴んだように見えた。
試合は2-3で敗れたことや、後半に存在感が希薄になったこともあり「完璧」とは言えない内容だったが、それでもチーム合流からわずか4日で行われたデビュー戦ということを踏まえれば、まさに上出来のパフォーマンスだった。
南野から見たこの試合、2つのポイント
この試合のポイントは2つあったように思う。ひとつは、デビュー戦で目に見える結果を残したこと。ハーゼンヒュットル監督はもちろん、チームメートの信用もさらに深まり、ゴール前でラストパスが入る機会は今後増えるだろう。南野本人にとっても大きな自信となったに違いない。
もうひとつは、サウサンプトンのプレースタイルにフィットし、フル出場を果たしたこと。この点も、シーズン後半戦をサウサンプトンで戦う上で大きな収穫だ。
ファーストチームの全体練習は2回しか参加していないが、南野の動きはサウサンプトンに長く在籍しているかのようだった。鍵となったのは、前所属先であるレッドブル・ザルツブルクのプレースタイルだ。
「我々のサッカー用語をすでに取得している」
同じレッドブル系列で、ザルツブルクの姉妹クラブにあたるRBライプツィヒの監督を18年5月まで務めたのがハーゼンヒュットル監督である。両クラブは「前線からの激しいプレス」や「攻守の切り替え」を重視し、「カオス状態にある密集地帯をうまくコントロールする」という基本コンセプトを共有している。
ハーゼンヒュットル監督は「南野は我々の使っているサッカー用語をすでに習得している」と評価していたが、その学びの場は、2015年から5年にわたり在籍したレッドブル・ザルツブルクだった。今思えば、この期間は南野にとって非常に有意義だった。