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春高バレー伝統校から“坊主”が消えた? 初戦屈指の好カード、崇徳vs.星城のもう1つの楽しみ
posted2021/01/04 06:01

紺のユニフォームに坊主頭の印象が強い広島・崇徳高校(写真は2018年1月撮影)
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Sankei Shimbun
2020年は、まさに変化の年だった。至るところでそう実感したが、何より時代の移り変わりを実感したのがこの数字だ。
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1月5日に開幕を控えた全日本バレーボール高等学校選手権大会、通称“春高”に駒を進めたのは52校(男子)。そのうち、選手全員が坊主頭で各都道府県大会の決勝に臨んだのは松本国際(長野)、鹿児島商(鹿児島)、雄物川(秋田)、日本航空(山梨)の4校のみだった。
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高校球児などに代表されるように、これまでの高校バレーボール界でも坊主頭にすることでチームに一体感を生み出そうとする学校が多かった。数年前まではおよそ半数以上の春高出場校が坊主頭で臨み、それは強さの「象徴」とさえ感じさせるものだったが、近年では時代を流れを受けてか減少傾向にある。
「ついに崇徳まで坊主頭をやめるとは」
坊主頭の「象徴」とも言うべきチームの1つが広島県代表の崇徳だ。だが、今年で47回目の出場を決めた県大会決勝では、坊主頭を辞めた。インターネットで配信される決勝戦を見たという豊田充浩監督(昨年優勝の東山を27年率いる)も「坊主頭が少なくなってきたと感じてはいたけれど、ついに崇徳までやめるとは驚いた」と吐露したほど話題を集めた。
渦中の崇徳の本多洋監督にその意図を尋ねると、意外な答えが返ってきた。
「もともと坊主を強制したことはなかったんですよ。むしろ(これまで)禁止していたのは『五厘はダメ』というぐらいで。それなのに試合が近づくと選手たちが自主的に『自分たちはこれがいい』と勝手に坊主頭にしてくる。それがずっと続いていただけなんです」
あえて「坊主禁止」を告げた本多監督
崇徳と言えば紺地に白のユニフォームと坊主頭。そんな伝統校の姿に憧れ「崇徳で全国優勝したい」と入学する選手からすれば、大会前に髪を刈るのも1つの儀式だった。これまでは坊主頭を強制しない代わりに、あえて「坊主禁止」と掲げるのも強制だと捉えていた本多監督は髪型に口を出すことはしてこなかったという。しかし、昨年の春高で敗れたその日、残る1、2年生に向けて、あえて「坊主は辞めよう」と口にした。
「散髪代がかからないとか、楽だからとか、選手には選手で坊主にする理由はさまざまなあると思うんです。でも、最近はどこかで『俺たちは坊主頭を貫いている』というカッコばかりが前に出ていた。本当にそうやって胸を張れるぐらい頑張っているんか、と言えばそうじゃない。今までこうじゃったから、これからもこうすればいい、と安易に考えるのではなく、新しいことにも積極的に取り組む時期なんじゃないか、と伝えたかったんです」