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「慶応に考えさせた」早稲田か、「9連覇“最後の世代”」帝京か…大学ラグビー“新旧”王者の本命は?
posted2021/01/01 17:02
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
KYODO
2021年1月2日、ラグビー大学選手権準決勝の第1試合は、早稲田大学対帝京大学の顔合わせとなった。
昨年度は、早稲田が11年ぶりに大学王座に返り咲いたが、帝京は2009年度から2017年度まで大学選手権9連覇。2019年のW杯では姫野和樹、中村亮土、流大と、ジェイミー・ジャパンの中核を担った選手たちを輩出したことでも評価される。「平成の常勝軍団」といった趣だったが、新旧王者の対決は見どころ満載だ。
11月1日の対抗戦では、早稲田が7トライを奪って45対29と乱打戦の末に寄り切った(帝京5トライ)。2カ月が経って、両軍の成長度が問われる戦いとなる。
「慶応に考えさせた」早稲田
ディフェンディング・チャンピオンの早稲田は、準々決勝の慶応戦でようやく学習能力を見せた。12月6日の早明戦でセットプレーが崩壊、どのように修正してくるかが注目されていたが、まず、スクラムが安定した。このエリアでの憂いを排除できれば、様々なアタックが可能となる。
そして、この試合の勝敗を決したのは、早稲田が慶応の生命線であるラインアウトを見事に封じこめたことにある。自陣ゴール前の慶応ボールラインアウトで許したトライは1つだけ。それも慶応がクリーンキャッチできず、形が崩れたところに対応できなかったものだ。
試合後に慶応側からは、「ロックの下川君にプレッシャーをかけられて、うまく対応できなかった」というコメントがあったが、研究の成果を発揮し、慶応に迷いを生じさせた。慶応OBが「最初、うまく行かなかったからといって、考えすぎなんだよ」と悔やんでいたが、研究熱心なチームほど、事がうまく運ばなかったときに、負の連鎖に入ることがある。「慶応に考えさせた」早稲田の勝ちだった。