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西田有志が明かした世界ユースでの挫折…早稲田大4年宮浦健人との“再会”に「競争が過激になることは楽しみ」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT

posted2021/01/03 11:01

西田有志が明かした世界ユースでの挫折…早稲田大4年宮浦健人との“再会”に「競争が過激になることは楽しみ」<Number Web> photograph by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

西田が所属するジェイテクトは、12月20日に行われた天皇杯決勝戦でパナソニックを破り優勝を果たした

宮浦が語る早稲田大での変化

 一方、ユースで西田とのポジション争いを制した1学年上の宮浦は、鎮西高から早稲田大学に進んだ。1年時からレギュラーとして出場し、全日本インカレ優勝に貢献。そして4年となった2020年は主将を務め、12月6日まで開催された全日本インカレで、1セットも落とさない圧倒的な強さで4連覇を達成した。

 ミドルブロッカーの村山豪や、2020年度の日本代表に選出された2年の大塚達宣、センスあふれる1年の水町泰杜など得点力のある選手が揃うが、その中でも、流れが悪くなりそうなところで確実にスパイクを決めて立て直したのは、オポジットの宮浦だった。

 セッターの中村駿介は、「“ここ1点取ってほしい”というところは、宮浦に託す」と話していた。

 宮浦は、大学4年間での自身の変化をこう語る。

「一番変わったのは、自分の体に対しての考え方です。早稲田にはいろんな専門分野のスタッフさんがいて、細かいアドバイスをしていただき、意識が大きく変わりました」

 変わり始めたのは、1年の冬から春にかけての時期だった。

「自分のプレーに対して、なんかあんまりうまくいかないなーと感じていて……。自分の映像を見ると、パワーのなさや体の弱さがわかって、もっとパワーがあれば、もっとジャンプできたら、と思った。そのためにどうしたらいいかと考えたら、やっぱりトレーニングや日頃のケアが大事なのかなと。小手先の技術も、大事ですけど、やっぱり一番は体なので」

西田の活躍が刺激に、体重も10kg増

 その頃はちょうど西田がVリーグで活躍し始めた時期でもあった。

「デビューしてすぐに活躍していたので、刺激になりました。彼も体が強いので、そこに追いつくためには、やっぱり体の面で強くならなきゃって」

 大学1年の頃は細身だったが、その後、トレーニングで10kg増えた。

 同級生の村山が、「練習もトレーニングも人の2倍、3倍やっていて、自分が成長するため、勝つために絶対に手を抜かない」と言うように、宮浦は取り組む姿勢でチームの信頼をつかんでいった。

 早稲田大の松井泰二監督も、「1つ1つのことにこだわりを持つようになりましたね。2年生になる頃から、自分の体をしっかり作ろうという意識がものすごく出てきました。筋力が上がり、ボールが飛ぶようになると、自信がついてメキメキと伸びていきました」と振り返る。

 最初は真っ向勝負一辺倒だったが、プレーの引き出しも増えていった。松井監督は、「被ブロックは、ブロッカーがいいんじゃなくて、スパイカーがダメなんだぞ」と口酸っぱく指導。宮浦は、リバウンドを取って攻め直したり、ブロックを利用して得点につなげるなどクレバーな選択ができるようになった。

「戦術的なことも理解して、目の前の1本だけのことを考えるんじゃなく、5セットマッチを通した駆け引きを相当覚えましたね」と松井監督は言う。

【次ページ】 ジェイテクトで再び始まる争い

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