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西田有志が明かした世界ユースでの挫折…早稲田大4年宮浦健人との“再会”に「競争が過激になることは楽しみ」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2021/01/03 11:01
西田が所属するジェイテクトは、12月20日に行われた天皇杯決勝戦でパナソニックを破り優勝を果たした
「世界のベストオポジットの1人」
10月に開幕した今季のVリーグでジェイテクトとパナソニックが対戦した時は、西田が怪我のため出場しておらず、パナソニックが2連勝していたが、「今夜は相手の方が強かった。西田が入るとジェイテクトはまったく違うチームになる」とパナソニックのロラン・ティリ監督は完敗を認めた。
「西田は非常にスイングが速く、どこにでも打てる選手。我々もラインをブロックしたり、クロス側をブロックしたりと対策をしたが、それ以上に西田はいい仕事をした。彼は心理的な武器にもなる。なぜなら、特にサーブは、どこにくるかわからないし、非常にパワフルで速いため、サーブレシーブをする側はまるでスパイクレシーブをするかのようで、相手チームは彼がいるだけで動揺する。逆にチームメイトには自信を与えている。それがもっとも重要なことだ」
フランス代表監督も務めるティリ氏は、「西田は世界のベストオポジットの1人」と讃えた。
ユース代表時代の挫折
西田は、三重海星高校から2018年にジェイテクトに入団した。まだ内定選手だった高校3年の1月に、Vリーグ史上最年少の17歳でデビュー。それからわずか3年足らずで、怪物になった。
そんな西田も、挫折を味わったことがある。ユース時代のことだ。
西田は高校2年の3月にアジアユース選手権の日本代表に選出された。子供の頃から日本代表を目標にしていた西田は、そこへの第一歩だと意気込んだが、大会では控えに回った。オポジットには、当時鎮西高校3年で、西田と同じサウスポーの宮浦健人がいて、宮浦が全試合に先発出場し、日本はアジアで優勝を果たした。
そのユースチームは、その年8月の世界ユース選手権に臨み、銅メダルを獲得するのだが、西田は世界に挑む前に、メンバー選考で落選した。
「自分もそこ(世界ユース選手権)に加わりたかったんですけど、落ちてしまったというのが、ほんっとに悔しかった。挫折というか、メンタル的にかなり落ち込みました。でも、そんな落ち込んでる暇はないと思って、初心に戻って自分に何が足りなかったのかを考えて、また1からスタートしようと思いました」と以前語っていた。
その後、ジェイテクト入りに向けて徹底的に体を鍛え上げ、高3の1月にVリーグデビューした西田は、その年、日本代表に初選出。19歳で臨んだ2019年10月のワールドカップでは、サーブ賞とベストオポジットに輝く活躍で日本の4位入賞に貢献し、世界を驚かせた。