酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
三浦番長DeNAの悩みどころは“山崎康晃ショック” 筒香嘉智の穴を佐野恵太は埋めたか【記録で12球団総括】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama/JIJI PRESS
posted2020/12/24 11:04
初規定打席で首位打者の佐野恵太(左)。一方で苦しんだ山崎康晃…2人の2021年はどうなるか
今永以外の先発の活躍が長続きしない?
投手陣の悩みは大きい。先発投手陣は「活躍が長続きしない」という悩みがある。
<ラミレス政権下の8勝以上の投手の推移>
・2016年
山口俊 11勝5敗 138.2回 率2.86
石田健大 9勝4敗 153回 率3.12
今永昇太 8勝9敗 135.1回 率2.93
・2017年
今永昇太 11勝7敗 148回 率2.98
ウィーランド 10勝2敗 133回 率2.98
濱口遥大 10勝6敗 123.2回 率3.57
・2018年
東克樹 11勝5敗 154回 率2.45
・2019年
今永昇太 13勝7敗 170回 率2.91
・2020年
大貫晋一 10勝6敗 113.2回 率2.53
2年連続で8勝以上を挙げたのは今永昇太だけ。あとはエース格が年替わりになっている。
DeNAは、先発投手への負荷が最も小さい球団だ。先発投手の1試合当たりの投球数86.90球はセ・リーグ6位、平均投球回5.17回は5位となっている。
それでも先発投手の柱を確立することができない。その原因がどこにあるのかは筆者にはわからない。
ただラミレス監督は濱口、石田、今永など一線級の先発でも、比較的簡単に救援に回すことがあった。その融通無碍には良い部分もあっただろうが、先発投手陣のメンタル面にマイナスの影響を与えていた可能性もあるだろう。
大きかった「山崎康晃ショック」
救援投手については「山崎康晃ショック」が大きかった。
山崎はいろいろなルーティンを持っている投手だが「プロ入り以来、1度も牽制球を投げていない」というものがあった。開幕直後の6月27日の阪神戦、山崎は公式戦ではじめて牽制球を一塁に投げたが、この試合で救援失敗。以後も失敗が続き、7月末には中継ぎへと回った。
山崎の速球は最速で150km/hそこそこ。球速だけなら国吉佑樹の方がはるかに速い。落差の大きいツーシームが売りであるからこそ、微妙な駆け引きやズラし方で打者を打ち取っている印象があった。その微妙なバランスが崩れたのではないかと思う。
山崎が崩れたことによって、DeNAの「勝利の方程式」も大きく崩れた。