酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
三浦番長DeNAの悩みどころは“山崎康晃ショック” 筒香嘉智の穴を佐野恵太は埋めたか【記録で12球団総括】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama/JIJI PRESS
posted2020/12/24 11:04
初規定打席で首位打者の佐野恵太(左)。一方で苦しんだ山崎康晃…2人の2021年はどうなるか
筒香嘉智の身上は、長打もさることながら、四球などいろいろな形で出塁し、本塁を踏む得点力の高さにあった。
佐野恵太は初規定打席で首位打者を取ったことからもわかるように、筒香の穴を埋めたということはできそうだが、こと得点力においては筒香のカバーはできていなかった。
ロペスら外国人選手の息切れが
さらに、今季は外国人選手の息切れが目立った。
ラミレスDeNAの強みの1つは、監督と同じスペイン語圏の外国人選手だった。同じベネズエラ出身のホセ・ロペスはNPBに適応し、安定感のある打撃と老練な一塁守備でチームに貢献した。四球を選ばない早打ちであるところもラミレス監督に似ていた。
プエルトリコ出身のネフタリ・ソトはリーグ屈指の長距離打者として2年連続本塁打王を獲得した。また救援投手のベネズエラ出身、エドウィン・エスコバーも含め、ラミレス監督とネイティブに話ができる主力が投打にいることで、チームはうまくまわってきた。
しかしロペスは37歳の今季、大きな故障がなかったのに最後まで調子が上がらなかった。ソトは内角球や変化球にも対応するなど穴の少ないスラッガーだったが、今季は強引に引っ張る打撃が目立ち、本塁打数を大きく減らしている。なおタイラー・オースティンは20本塁打を放った一方で、度重なるケガで65試合出場にとどまっている。
信頼する選手が不振に陥るのも「政権末期」の特徴の1つではあるが、来季は今季最大のポイントゲッターだった梶谷が抜ける上に外国人選手の立て直しも必要になる。
2020年のチーム盗塁数は近本1人と同じ
なおラミレス体制のDeNAは「機動力」をほとんど使わなかった。今季のチーム盗塁数31はリーグ最下位。盗塁王の阪神、近本光司の盗塁数と同じだ。ラミレス監督はMLB流に「盗塁は効率の悪い戦法」と考えていたのだ。
三浦新監督は、足を使った打線を構築する手もあるだろう。チームの盗塁王の梶谷は抜けたものの神里、乙坂智、ファームで15盗塁した宮本秀明などの韋駄天選手が結構いるのだから。