炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ鈴木誠也が「12月いっぱいは何もしません」 球界屈指の“練習の虫”に何があったのか?
posted2020/12/23 17:05
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
KYODO
例年よりも広島は、静かなオフとなっている。
新型コロナウイルス感染拡大予防のため、球団は一軍本拠地マツダスタジアム、二軍の大野練習場の使用を午前と午後に分けている。練習時間が限られる環境で、自宅などでトレーニングするなど、選手個々に工夫も見られる。
そんな今オフ、ある選手の姿をまったくと言っていいほど見ない。昨オフまで毎日のように姿を見せていた鈴木誠也の姿が、今年はないのだ。
「もうすべて埋まってパンパン」と言っていたのに……
「今年は休もうと思って。12月いっぱいは何もしません。(シーズンオフが)1月31日まであると思うので、ギリギリまで休みたいと思います」
球団歴代野手最高年俸の推定3億1000万円で契約を更改した9日の会見での言葉を信じてはいけない。今季終盤にはすでにオフのトレーニングの計画を練り「もうすべて埋まってパンパン。時間が足りない」と話していた。何より、シーズン中でも誰よりも練習をする練習の虫が、じっとしていられるわけがない。
探求心は球界を代表する打者になっても衰えない。それどころか、選手としての成長とともに増している気がする。
一軍で「神ってる」と言われた2016年は、シーズン終了とともに打撃をゼロからつくり直した。首位打者を獲得した19年も、シーズンが終わればすぐにバッティングの型を変えた。
「挑戦しないと、人は変わらない」
立場が変わっても、どれだけ良い成績を残しても、変化を求める思考と行動力が成長を促してきた。
今季、チームが5位に沈む中、打率3割、25本塁打、75打点という成績を残した。5年連続打率3割は広島球団初。5年連続で打率3割と25本塁打を記録したのは、王貞治氏、落合博満氏、小笠原道大氏に続き4人目となる偉業だった。そうそうたる顔ぶれに並ぶ大記録に、先人たちへ敬意を払いながらも満足感はない。