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<全国高校駅伝>大迫傑、佐藤悠基…なぜ佐久長聖は名ランナーを次々に輩出できる?「テレビもゲームも禁止」

posted2020/12/19 17:04

 
<全国高校駅伝>大迫傑、佐藤悠基…なぜ佐久長聖は名ランナーを次々に輩出できる?「テレビもゲームも禁止」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

佐久長聖の名物クロスカントリーコースで練習する選手たち。両角前監督が自らの手でゼロから整備した

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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Asami Enomoto

 12月20日、京都にて通称“都大路”こと全国高校駅伝が開催される。今年は高校記録保持者の石田洸介(群馬・東農大二)を筆頭に、5000mで13分台の記録を持つランナーが留学生を除いて史上最多の22名(不出場の高校含む)おり、2時間1分18秒という大会記録の更新を予想する声も多い。

 優勝候補と目されるのが、大会記録を持つ世羅(広島)と前回優勝の仙台育英(宮城)、そして佐久長聖(長野)だ。特に佐久長聖は日本人だけでレースに臨み、自らが持つ留学生を含まない日本高校最高記録にも挑むことになる。

 Number1017号「箱根駅伝」特集では、箱根駅伝にも続々と名ランナーを送り込む佐久長聖の強さの秘密を取材。現東海大監督の両角速氏が強化に乗り出して以降、名ランナーを続々と輩出する伝統の力の源泉はどこにあるのか、4ページの記事で分析している。

 その記事内には盛り込みきれなかった「練習日誌」と「スカウティング」について、高見澤勝監督の言葉と指導哲学を紹介していく。

「テレビもゲームも禁止」

 今回の都大路、監督の高見澤勝は「6位以内」と現実的な目標を掲げるが、今年は5000mで高校歴代2位の記録を出した伊藤大志(3年)ら質の高い選手を擁しており、チームへの期待は膨らんでいる。

 佐久長聖はこれまで佐藤清治、佐藤悠基、大迫傑ら数多くの日本代表のランナーを輩出。今回の箱根駅伝でも名取燎太(東海大)、中谷雄飛(早大)らOBが各大学のエースとしてエントリーされている。

 これだけの選手を昔も今も生み出している佐久長聖流の強化は厳しく、そしてアナログだ。強化の軸になっているのが、寮を含めた生活の厳しさにある。

 今年は携帯電話が解禁になったが今もテレビ、ゲームなどは禁止だ。整理整頓や普段のあいさつも厳しく徹底されている。実際、佐久長聖の練習を見に行くと、選手がひとりひとり自分の前に来て、立ち止まり、目を見て「こんにちは」とあいさつしていく。“ながら”のあいさつをする選手はひとりもいなかった。

コミュニケーションは「練習日誌」で

 練習を見ていると、高見澤と市村一訓コーチは、必要なこと以外、話をしない。選手も監督やコーチの意図、考えを把握しているようで、精密機械のように練習をこなしていく。

 生徒とのコミュニケーションは普段どう取っているのだろうか。

【次ページ】 県外の選手をどう「スカウト」している?

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