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箱根駅伝であの“山の神”が厚底シューズを履いていたら…前回大会7つの区間記録を超えるのか

posted2020/12/19 11:02

 
箱根駅伝であの“山の神”が厚底シューズを履いていたら…前回大会7つの区間記録を超えるのか<Number Web> photograph by L:Yuki Suenaga R:Nanae Suzuki

ともに前回大会で区間記録を打ち立てた吉田祐也(左)と館澤亨次。今回大会ではどんな記録が誕生するだろう

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酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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L:Yuki Suenaga R:Nanae Suzuki

 前回の箱根駅伝は凄まじいほどの記録ラッシュになった。10区間中7区間(2、3、4、5、6、7、10区)で区間新記録が誕生。しばらくは破られないなと思っていた記録も更新された。

 学生時代に箱根駅伝を走り、スポーツライターとして20年近く陸上競技を取材してきた筆者は本当に驚かされた。

 好タイムの要因は気象条件に恵まれたこともあるし、選手のレベルが上がったこともある。しかし、大きかったのはシューズの進化ではないだろうか。

 前回は210人中177人(84.3%)がナイキを履いて出走していた。いわゆる“厚底シューズ”の影響が多大にあったと推測している。

異常なタイム短縮もうなずける厚底の威力

 ナイキ厚底シューズは2017年夏に一般発売された。当時のモデルは『ズーム ヴェイパーフライ 4%』だ。反発力のあるカーボンプレートを、航空宇宙産業で使う特殊素材のフォームで挟んでいるため、「厚底」になっている。

 同シューズはナイキの代表的レーシングシューズだった『ズーム ストリーク6』よりランニング効率を平均4%高めたことから、名称にも「4%」がついた。南アフリカ・フリーステート大学の運動生理学者ロス・タッカーによると「ランニング効率が4%高まると、勾配が1~1.5%の下り坂を走るのに相当する」という。

 箱根駅伝の異常なタイム短縮もうなずける。逆にいうと、ナイキ厚底シューズがもっと前から存在していたとしたら、レジェンドたちはどれぐらいのタイムで走破していたのか。一種のファンタジーをマジメに考えてみたい。

【次ページ】 箱根駅伝の区間記録と、“非厚底”最高記録は?

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