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<全国高校駅伝>大迫傑、佐藤悠基…なぜ佐久長聖は名ランナーを次々に輩出できる?「テレビもゲームも禁止」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAsami Enomoto
posted2020/12/19 17:04
佐久長聖の名物クロスカントリーコースで練習する選手たち。両角前監督が自らの手でゼロから整備した
「基準のタイムを設けないとたくさんの生徒が来てしまうし、レベルの差が出てしまい、多くのグループを作らないといけなくなってしまう。今はA、B、Cと強化、この4つのグループに分けていますが指導のためには、これ以上は増やしたくないんです」
ただ、これはあくまでも“基準”だ。今の3年生の中には、中学時代のタイムが足りなかったが、どうしても佐久長聖でやりたい、強くなりたいと希望した生徒がいる。高見澤が直接、話をして「覚悟ができています」という本人の表情と親の「お任せします」という言葉に「そこまで覚悟ができているなら」と入部を許可した。
その選手は、植松孝太。1年の時は練習についていけずに苦労していたが、2年、3年と練習をこなせるようになっている。
「植松は1年の時、3000mを9分33秒かかっていましたが、今、5000mを14分5秒で走れるようになった。ここまで伸びてくるのが本校の良さだと思いますし、そういうところにうちの魅力を感じてほしいですね」
ちなみに勧誘の時の殺し文句はあるのだろうか。
「特にないですね(笑)。大学や社会人でも活躍してもらいたいので、佐久長聖ではそういう指導をしますという話をさせていただいています」
「ごはんはいかがですか」「荷物を持ちましょうか」
寮生活や普段の厳しい生活指導、そして強度の高い練習をこなしていく中で選手は、佐久長聖のモットーである「社会に役立つ人間」に成長していく。
その一端を大会などで垣間見ることができる。佐久長聖の選手は、よく気がつくと言われている。
長野県内で「打倒・長聖」を目指す上田西高校の帯刀秀幸監督は、佐久長聖の選手の動きに驚いたという。