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巨人「DH制」提案をセ他球団が拒否したワケ 「北風と太陽のように絶対に脱がない」と“意地でも反対”も
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2020/12/18 17:15
日本シリーズについて「全てにおいて、われわれは劣っていた」と語った原辰徳監督。巨人はDH制の導入に前向きだが……
「日本シリーズで巨人が惨敗」という状況の変化
もちろん指名打者制度の導入に賛成、反対とそれぞれの球団が意見を持つのは当たり前のことではある。
ただ、11月の決定を盾に継続的な話し合いも行わないという姿勢には、疑問を感じざるを得ない。
確かに決定は決定だが、その決定後に状況はまた大きく変化した。一番の変化は日本シリーズでの、巨人の惨敗と言える結果だった。
ペナントレースを圧倒的な強さで勝ち上がった巨人が、パ・リーグの覇者であるソフトバンクに完膚なきまでに叩きのめされた。そしてその現実を肌で感じ、本当に深刻に受け止めたのが巨人だったのである。
巨人以外の5球団が他人事のように無関心
そしてその現実は巨人だけの問題ではないはずだ。ペナントレースではそんな巨人に大差をつけられて敗れ去ったのは阪神であり、中日でありDeNAであり、広島でありヤクルトだった。
しかも日本シリーズだけでなく昨年までのセ・パ交流戦では2005年から昨年までの15年間でセ・リーグが勝ち越したのはわずかに1回しかない。
セ・パのリーグ間格差は厳然として存在する。セ・リーグの関係者がその現実から目を逸らそうとしても、日本シリーズはそんなことは許さなかった。原辰徳監督が指名打者制度の問題を積極的に口にしたのも、日本シリーズで肌で感じたリーグ間格差を、セ・リーグに持ち帰って6球団で共有したいという狙いもあったからだった。
ところが、だ。
肝心の巨人以外の5球団が他人事のように無関心なのだ。確かに11月の理事会では、水面下で来年のコロナ禍を想定しながらも、導入を見送ることを確認していたかもしれない。それでも日本シリーズの結果を受けて、リーグを取り巻く状況にも、ファンの考え方にも大きな変化はあったはずだ。
そういう意味では11月2日から状況は大きく変わっている。