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巨人「DH制」提案をセ他球団が拒否したワケ 「北風と太陽のように絶対に脱がない」と“意地でも反対”も
posted2020/12/18 17:15
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
セ・リーグの来季の指名打者制度導入がなくなった。
セ・リーグは12月14日に理事会を開催。席上、巨人・山口寿一オーナー(読売新聞グループ本社代表取締役社長)が文書を提出し、来季の指名打者制度の暫定導入を提案した。しかし、この提案に他球団はこぞって反対し、来季導入は事実上の見送りとなった。
「今の段階では来季、(指名打者制度を)入れるのは止めましょうという感じです。セ・リーグを強くすることについては、永続的に考えていかないといけないというまとめ方です」
理事会後にこう語ったのは阪神の谷本修球団本部長だった。
巨人の提案は全く相手にされなかった
新型コロナウイルスの蔓延に収束の気配が見えないばかりか、むしろ拡大の様相を見せる中での理事会。すでに発表された2021年の日程では3月26日の開幕からリーグ戦125試合にセ・パ交流戦18試合を合わせた143試合を行う。
東京五輪が実施されれば、7月19日から8月12日まで約3週間にわたってペナントレースが中断されることで、かなりの過密日程となる。
その中で山口オーナー名の文書では、コロナ禍での投手の負担軽減、チームの強化、プロスポーツとしての真剣勝負の徹底という3つの理由を柱に来季の指名打者制度の暫定導入が提案されていた。
文書では今季の故障者数の増加などの具体例も挙げながら、暫定的な導入を求めたが、他の5球団は故障者数と指名打者制度の因果関係への疑問などを挙げながら反対を表明。すでに11月2日の理事会で、水面下では来季導入の見送りを内定していたことから、巨人側の提案は、全く相手にされなかったというのが実情だった。