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2年連続監督交代後に就任…楽天・石井一久新監督が「結果の責任を取るなんて簡単」と考えるワケ
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2020/12/14 11:03
秋季練習で松井裕樹投手(右)と話す石井一久新監督
結果の責任を取るなんて簡単なこと
――マネーボールと同じ発想?
「そうですね。期待値はあって伸び代を考慮できる高卒。計算できる社会人、大卒という時代は終わったと思います」
――このドラフトを見ても、来年にかける思いが伝わってきます。それくらい勝負がかりのシーズンになると見ていいですか?
「僕は毎年、勝負しているつもりなんですけどね(笑)。でも、その結果で自分の責任がどうのこうのなんてどうでもいい話で、チームをどうやって強くしていくかしか考えていない。僕はGMも監督も辞めたいって言えば、いつでも辞められる。逆に言えば結果の責任を取るなんて簡単なことなんですよね。そこまで生活に困っているわけでもないですから(笑)。いつ辞めてもいいので、それはいい。
でもそんな無責任なことじゃなくて、チームを常勝チームにしなければいけないという使命があるし、そこを任されていると思っているので、そのために毎年優勝を狙っていくことからは逃げられない。
僕が責任を負わされないように優勝を目指すのではなく、僕が辞めた後も優勝をしっかり狙える強いチームを作りたい。それが僕の使命だと思っています。そういう意味では将来を担う新人選手達を獲れたってことは、この5年、10年のイーグルスというチームの平均値を上げていく上で、非常に意味があったと思います」
あまり理想の野球は掲げないでいようと思っている
――では監督・石井一久が目指す野球は?
「そうですね……どういう野球というのは理想論なんで、そういう捉え方はしていないです。僕の中では理想を掲げても、そんなうまくいくことはないなというのがあるから。そうではなくて、やっぱり監督としては、例えば乱打戦になったときにどうやって対応していくかとか、この日、掲げている野球じゃない展開になったときにどう対応ができるか。そういう対応能力が大事だと思っています。
点の入らないロースコア・ゲームになると考えたら、そういう野球をしていかなければならない。この試合は打ち勝たないといけないなと思ったら、早め早めに仕掛けていかなければならない。でもそういう読みが外れたら、そこでの監督の決断、采配の瞬発力というのが大事だと思います。だからあまり理想の野球は掲げないでいようと思っているんです」