早川だけに固執することはなかったが……

――球に力もありますし、エースになれる資質の投手と言えそうですね。

「豪球というのよりは、キレがあってスピード表示も出るピッチャーですね。スピン量もかなり多くて、真っ直ぐもそうなんですけど、スライダーもNPB平均より、数値は高いです。

　ドラフトでは僕は変な意味じゃなくてスカウトの意見というのはあまり信じていないんです。これは、スカウトさんと3年間の共同作業した信頼関係があるので言えます。スカウトの言葉だけでなく、自分の眼力も合わせスカウトとコミュニケーションは密にとって、総合して選手を客観的に評価してきているつもりです。

　そういう立場からすると、早川くんだけに固執することはなかった。ただ、活躍する選手を獲らなければならないという立場で観ると、やっぱり彼はナンバー1のピッチャーでした。スカウトからもここは早川くんでいくべきという声が出た。そうだよな、と会議ではチーム一丸となって早川くんにいけましたね」

僕の良さって、運のいいところだけですから（笑）

――最後（くじ引き）に仕事しましたね！

「ああ、でも3つ残っている中の1つを引いただけですから。僕の良さって、そういう運のいいところだけですから（笑）」

――ドラフトでは早川投手だけではなく、育成枠の1人を含めた指名7選手の内、5人が大学、社会人、独立リーグ出身の即戦力投手（2人は高卒の投手と野手）でした。その辺にもディフェンスの強化へのシフトという戦略が如実に出ていたように思います。

「早川くん以外の4人も、球が速くて、1年目から期待できる能力を持っている投手です。（3位指名の）藤井（聖、ENEOS）くんは左で先発でもいけるし、リリーフでも右左を抑えられる投手。

　大学社会人を獲得すると即戦力がほしかったと言われますけど、いまの時代って平均選手寿命が伸びて長いので、高卒で入団しても4年間を過ごしたときに、そこまでいけるかというところもある。いけるかもしれないし、いけない可能性もあるじゃないですか。だったら4年間、ある程度、育った中でどのくらいの伸びしろがこれからあるのか見えやすい選手を獲得しようということですね。

　しかも最近は投手の寿命って30代の中盤過ぎまであるので、いまの時代はそこまで高校生こだわる必要はないと思っています」

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